さて、前回までは、Google Analytics(GA)とTag Managerの連携についてお話してきましたが、それを応用してABテストの実験をしてみようというのが新シリーズの企画です。
だんだん「ラボ」っぽくなってきたでしょうか?
それでは、Webマーケティングの権威、王木教授のラボラトリーをちょっと覗いてみましょうか。
王木:ココココ。それでは、ABテストの実験に入る前に、この問題に答えてみなさい、童(わらべ)信。
信一:いや、信一ですけど。ちなみに、もうハタチ過ぎてますが。
羌花:信は意外に細かいことを気にするのだな。
信一:信一だっつ~の。うるさいな、キョウカは。
羌花:で、先生。問題とは?
王木:このA,B2つのキャチコピーがあったら、どちらを選びたくなりますかァ?童信。
信一:だからなんで、わらべやねん。で、なになに?
羌花:これはどちらも期待値は同じだぞ、信。
王木:ココココ。じゃあ今度はどちらを選びますかァ?
羌花:だから、これも期待値は同じだって。
王木:人間、プラスの条件には確実性を求め、マイナスの条件には損失回避の可能性を求めてギャンブルを打つ性質があるんですよォ。そうですよね?勝。
勝:ハッ、その通りでございます。
信一:それは、たまたま俺がそうだっただけじゃあ?
王木:信、いいところに気がつきましたねェ。でもこれはちゃんと実証実験を行った結果なんですよォ。
羌花:プロスペクト理論か。
信一:何だ、キョウカ。知っているのか?
羌花:昔、婆に聞いたことがある。確かダニエル・カーネマンは、これでノーベル経済学賞を取ったはず…。
王木:でもこのような実証実験も、大規模に大量のデータで実施する必要があるときには、Webのチカラを借りる必要がありそうですねェ。
羌花:そうか、オバマ大統領の選挙運動の…。
信一:それなら俺も聞いたことがあるぞ。実験的にいくつかのデザインとキャッチコピーで選挙運動のWebページを作成して、一番反応の良かったパターンを本格採用することで、寄付金の獲得に大成功したって話だな。
羌花:そう、それで選挙戦を優位に進めることができた…。
【最も反応の良かったボタンのメッセージ(左)と訴求画像(右)の組み合わせ】
出典:Best Practices & Lessons Learned from 30,000 A/B and Multivariate Tests
Optimizelyビデオより
信一:でも、それとさっきのクイズとどんな関係があるんだ?
王木:ココココ。相変わらずですねェ、信は。ダニエル・カーネマンがいくら優れた行動経済学の学者でも、勝手にプロスペクト理論を唱えただけでは、誰も信じてはくれないじゃないですかァ。そうですね、勝。
勝:ハッ、その通りでございます。
羌花:なるほど、仮説を実地で検証して初めて信頼できる理論として完成する。それをWebマーケティングに応用すると…。
信一:ランディングページやメルマガのキャッチコピーやデザインの仮説を検証するのも同じだって言いたいんだろ?
羌花:さすがは百人将だな。
信一:何のこっちゃ?でも、実際にはどうやって検証すればいいんだろう?
王木:そこで、ABテストが登場するんじゃないですかァ。
というわけで、ABテストです。次回以降で実際に実験を実施していきますね。
今回の実験は、ABテストの仕組み自体は、「Optimizely」(https://www.optimizely.co.jp/)が提供している無料サービスを活用する予定です。
これは、対象の1ページだけにタグを設定し、ページ中のコンテンツをランダムに切り替えて表示することで比較を行うタイプです。Google AnalyticsにもABテストに関する機能(ウェブテスト)があるのですが、実際に複数の比較ページを作成して、ページごと表示を切り替えて比較するタイプになります。
【Google Analyticsのウェブテストヘルプページ】
https://support.google.com/analytics/answer/1745147
工数的に楽をするのが私の記事のコンセプトでもあるので、今回は前者を選択したわけです。もちろんタグの設定もTag Managerで行う予定です。また、効果測定はGoogle Analyticsと連動させて計測することが可能です。
さて次回からは、いよいよABテストを実施しますよォ、お楽しみに!!

TAIZO

最新記事 by TAIZO (全て見る)
- 【Google Analytics 便利技】明日から使えるセグメント分析 - 2017年2月8日
- 【処理流暢性って何?~ニューロマーケティングの世界~】 - 2016年12月26日
- 【Google Search Console使ってる?~シャイキリ津葉木の成長記】その2 - 2016年10月19日