【行動経済学×ABテスト×Google Analytics×Tag Manager(その2)】

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それでは、今回からABテストの実践に入っていきますよ。
でもその前に、まだ行動経済学での重要な論点が残っていますので、まずはそちらを王木教授と勉強しましょう。


王木:ココココ。前回はポジティブな事象とネガティブな事象で人間の対応が変わることを学習しましたねェ、童信。

信一:はいはい、もうわらべでもなんでもいいですよ。プロスペクト理論ですね。もうわかりましたよ。

羌花:いや、婆の話によれば、プロスペクト理論にはまだ奥があるはず…。

王木:ココココ、さすがは蚩尤(しゆう)ですねェ。

信一:しゆうって、キョウカ、きみは一体!?

勝:ファルファルファルファル。

王木:さすがに、仕事が早いですねェ、勝は。

勝:ハッ。こちらが価値関数でございます。

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価値関数

王木:利益と損失の絶対値が同じなら、人間はその損失の価値を利益の2~2.5倍にも見積もる傾向があるんですよォ。そうですね、勝。

勝:ハッ、損失回避の保有効果でございます。

羌花:信も百人将ならわかるだろう、兵を失う悲しみが…。

信一:なんのこっちゃようわからんが、1,000円もらう喜びより、1,000円失くしたショックの方が確かに大きいかもな。

王木:そして、行動経済学のもう一つのポイント。時間選好。

羌花:双曲割引か。

信一:ソウキョクワリビキ?

王木:ところで、童信はたばこを吸いますかァ?

信一:人を童扱いしておいて、その質問わけわかんねーよ。はいはい、吸いますよ。

羌花:信は、禁煙が続かないタイプではないか?

信一:ドキっ、なぜわかる?

王木:ココココ。人間らしいといえば、人間らしいですねェ、本能まる出しで。

羌花:将来の健康な身体の方が、大事なのはわかっていても、今すぐの一服のおいしさに負けてしまう…。

信一:はいはい、すみませんね、こらえ性が無くて。

王木:いやいや、それはなにも童信だけでなく、人間の基本的な性質なんですよォ。そうですね、勝。

勝:ハッ、ファルファルファルファル。

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双曲割引

王木:さすがは、勝。あっという間ですねェ。

信一:これは双曲線?

羌花:人間、今に近いことの方が、遠い出来事よりも価値がある(時間割引率が大きい)と判断しがちということだ。

信一:なるほど、今の一服は我慢できないけど、禁煙して手に入る健康が一日や一週間遅れても気にならないものな。

王木:そして、それをマーケィテングに応用して大成功したのがこちらの米国カリフォルニア牛乳協会のキャンペーン。

~MilkAds.info Official YouTubeより~

羌花:昔、婆に聞いたことがある。もともとは、ずっと牛乳が健康に良いことをアピールしてきて、その認知度も高かったが、年々の販売低下を止めることができなかったと。それがこの「Got milk ?」キャンペーンに切り替えたとたん、売り上げが上昇に転じたらしい。

信一:なるほど、「今」に対する時間割引率を極大化することに成功したってわけだ。

王木:さて、それをお二人に実証してもらおうというわけです。覚悟はよろしいですかァ?

羌花:トーン、タンタン…。

信一:おい、キョウカ!大丈夫か?


というわけで、早速ABテストの設定をしてみましょう。

ABテストの前準備

今回は、ABテストのツールとして、無料で試用できるOptimizelyを使いますが、その前に、テストページを作成しておく必要があります。
そしてその中にオリジナル案の画像を貼り付けておきます。そして、Optimizelyを使って画像のみを代替案に差し替える実験をしてみましょう。

手順を整理すると、

(1)テストページの準備。バナー案Aとバナー案Bを用意し、テストページにバナー案Aを貼り付けておく。
(2)テストページへのOptimizelyタグの設定を、Tag Manager経由で行う。
(3)Optimizelyの設定画面から、バナー案Bを設定し、ABテストの環境を作る。

といったところまでを本日は行います。
準備はよろしいでしょうか?

禁煙しようとしてもなかなか続かない信一くん。そこで、家族や同僚に禁煙宣言をして、なんとか意思の弱さをカバーしようとしています。でも、ついつい人の目を盗んでは、陰で吸ってしまうこともしばしば。
そんな信一くんが禁煙ガムの広告を目にしました。
さて、どちらの広告の方がクリックされやすいかを試すABテストを設定してみましょう。

バナーの大きさや、色合いは同じにして、文言のみ2種類用意しましょう。ここでは以下の2種類を用意しました。

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【将来の健康を蝕むことを警告したA案】 と 【一本吸うとすぐにバレることを警告したB案】

そして、A案を貼付した、テスト用ページを作成しアップします。
/wp-content/uploads/2015/11/ab71.png

Optimizelyでの設定その1

ここまで準備ができたら、早速Optimizelyのサイト(https://www.optimizely.com/jp/)へアクセスして、まずは無料アカウントを作成してください。
そして、HomeをクリックしてMy Project画面へ。「設定」タブをクリックすると、Tag Managerに登録する「スニペット」というスクリプトが表示されるので、これをコピーしましょう。
/wp-content/uploads/2015/11/ab8.png

【Tag Managerでの設定】
そして、Tag Managerを起動します。もちろん掲載するサイトのコンテナを開いてくださいね。

タグの新規作成を選び、「プロダクトを選択」で「カスタムHTMLタグ」を選びます。
次に、「タグを設定」では、HTMLの欄に先ほどコピーしたスクリプトを貼り付けましょう。
ab9
配信するタイミングは、一応「一部のページ」にします。
ab10

続いてトリガーは、

イベント→「ページビュー」
トリガー→「ページビュー」
配信するタイミング→先ほどアップしたテストページ

をセットして、トリガーを保存。そして、サマリー画面から公開してください。

これで、Tag Manager経由で、テストページにOptimizelyがセットされました。
Tag Managerの設定はこれでおしまいです。

Optimizelyでの設定 その2

それでは、またOptimizelyのMy Project画面に戻りましょう。

概要タブをクリックして、「新しい実験の作成」ボタンをクリックし、以下のダイアログボックスに実験名と対象のURLを入力します。
URLは先ほど作成したテストページのURLです。
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そして、「実験の作成」ボタンをクリックすると、なにやら環境を作成してくれて、以下のような「実験のバリエーション」タブが開きます。
ab12

ここで、差し替えてテストするA案のバナーをクリックすると、以下のようなメニューが開きます。
ab13

このメニューで、「画像の変更」を選び、用意しておいたバナーB案の画像ファイルを選択すると、画面内のバナーもB案に差し替わりました。
ab14

問題なければ、これで「完了」ボタンを押します。

と、ここまでで、ABテストの元ネタの仕込みは終わりました。
一つのテストページで、比較したいバナー画像をOptmizelyが一定の割合で自動的に差し替えて表示する仕組みの準備が着々と進んでいるところです。これで(3)までは完了です。

ですが、結構長くなってしまいましたので、皆さまお疲れでしょう。
さらに細かく作りこんでいくのは、また次回に持ち越しといたしますよォ!

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TAIZO

神奈川県出身。一橋大学社会学部卒。中小企業診断士。NTT、セガ等を経て現在ウフル・マーケティングクラウド本部に所属。勘だけに頼らず、定量的な根拠に基づくWebサイト運営を是とするPDCA-Webマーケター。その一方で星座の世界を好むロマンチストでもある。禁煙には成功したが、ダイエットは成功の糸口さえ見えない今日この頃である。
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