デジタルマーケティングの新概念 Connected Retail とは?

コネクテッドリテイル
Pocket

今回はさぬきさんからバトンを受け取って、オムニチャネルの系譜に続く、新しい概念のお話をしたいと思います。

前回の 「Google AnalyticsのMeasurement Protocolがすごい!」 では、オフライン(=店舗)のデータ収集を容易にする仕組みを紹介しました。このような仕組みがなぜ着実に準備されているのか?の「答え」とも言えるお話です。お楽しみに。

Amazon が Whole Foods を買収

先日 Amazon が米高級スーパーチェーンの Whole Foods を買収するというニュースが発表されました。

Amazonが過去最大の1兆5000億円で高級スーパーマーケット「Whole Foods」を買収、オフライン小売市場へ本格参戦へ

一般的には、Amazon はデジタル領域のイメージが特に強い企業だと思います。それがなぜリアルの小売チェーンを手に入れたかったのでしょうか。「買ってどう使うの?」「何に使うの?」という疑問がでるのも当然です。

Connected Retail(コネクテッド・リテール)というキーワード

実は Amazon が実現しようとしているのは、そのテクノロジーとインフラを活かした店舗のデジタル化、そしてオンラインとオフラインの融合だと言えます。

Connected Retail(コネクテッドリテール)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?その他には 「IoT in Retail」、「Retail IoT」 とも呼ばれています。この言葉、アメリカで2016年あたりから盛り上がっている、つまりバズっているようなのです。

そのまま日本語にすると、「つながった小売」ということになりますが、これだけだとイメージしにくいかと思いますので、例によってデジタルマーケティングの変遷からおさらいしていきますね。

O2O、オムニチャネルと何が違うの?

  1. オフライン
    1.offline-min
  2. オンラインとオフライン
    2.online_offline-min
  3. オムニチャネル
    3.omnichannel-min
  4. O2O ( Online to Offline )
    4.O2O-min
  5. Connected Retail
    5.connected_retail-min

O2Oもオムニチャネルも、店舗をチャネルとしてのみ捉えており、店舗の中のデジタル化にまでは及んでいませんでした。小売のようなリアル「店舗」には物理的制約もありますし、技術の普及もない中では難しかったのです。

近年のキーワードに、ビッグデータ・IoT(Internet of things)・機械学習があります。これらの技術進歩により、統合的な顧客体験の創出が可能になってきたました。しかもスーパー・コンビニ・アパレルなどに代表される「小売」は一番消費者に身近な業態なので、ここがデジタル化されることは大きな時代の転換点だと考えられます。


ビッグデータ:顧客の詳細な行動分析が可能に。

IoT(Internet of things):センサーデータのリアルタイム収集が可能に。

機械学習:たとえば顧客ごとに適切なレコメンドなど、溜まったデータを元にした自動提案が可能に。


そして、もちろんモバイルの台頭も忘れてはならない要因です。

店内にいる顧客の71%がモバイルで商品を検索している

では上記の背景によってなにが実現できるのでしょうか。

connected_store-min

(https://www.slideshare.net/IBMIoT/watson-iot-for-retail より抜粋)

Connected Retail でできること10選

  1. インストア顧客行動分析
  2. デジタルサイネージのコンテンツ・タイミング最適化
  3. 接客の向上
  4. 万引き・返品詐欺防止
  5. オムニチャネルコミュニケーション(EC/モバイル/店舗)
  6. 顧客ごとに最適なサービスを提供
  7. 棚×センサーで店頭在庫をリアルタイムに把握(もちろん少なくなったら倉庫に自動発注もできる)
  8. トレーサビリティ(流通網のトラッキング)
  9. リアルタイムレコメンド
  10. チェックアウト・レス

※これは「Top 9 Retail IoT Use Cases」から引用して日本語化したものに、10点目の「チェックアウト・レス」を追加したものです。

たとえば、センサーで特定の商品の前にいる人にモバイル通知広告を配信、店内を回っている間にデジタルサイネージに商品の詳細情報を表示。その行動情報を店員に通知→より良い接客に活かす。

他にはこんな例も。店内で商品検索をした人がいたとして、それが店内に在庫がないとして、他の店舗の在庫を確認、なければ倉庫からいつ届くか確認して顧客にお知らせ(あと数時間できます)、などなどが実現可能になります。

Amazon だけではなく、あらゆるTech企業が参入しようとしており(*1)、「Google Cloud Next ’17」 でもコカコーラの事例が語られています。

*1・・・Google, Intel, Cisco, Fujitsu, SAP など

Connected Retail 、消費者として体験するのも、マーケターとして顧客体験をつくるのも、どちらにしても楽しみになりませんか?

Pocket

The following two tabs change content below.

フルタ

2005年早稲田大学商学部卒。プログラマ出身のデジタルマーケティングコンサルタント。 ウフルではマーケティングプランニング部に所属しており主にマーケティングオートメーションの導入PMを担当。お客様のマーケティングを日夜支援しています。
まずは事例を見てみる

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です