Dear John Letterという言葉をご存知でしょうか?
英語のイディオムの1つなのですが、直訳すると「親愛なるジョンへ向けた手紙」です。
「戦地に行ったジョンを地元で待ち続けていたが、待ちきれなくなって別の男と心が移ってしまった」というストーリーに由来した、別れの手紙の慣用句です。なんと悲しい…。
しかし僕にも、こんな悲しいできごとがあったのです…。
最近、僕の大好きだったあのSpotifyが日本に上陸したことがニュースになりました。
まずSpotifyとは?
話がややこしくなりそうなので、まず予備知識から紹介します。
Spotifyはスウェーデンに本社を置く、世界最大級の音楽ストリーミングサービス。月額制で聴き放題、いわゆるサブスクリプション型音楽配信サービスにおけるパイオニア的存在です。
2008年よりサービスを開始し、2011年にはアメリカに進出。2016年現在で1億人のユーザーを誇っています。サービス開始より8年、さまざまな権利問題などをくぐり抜け、遂に9月より日本でも利用が可能になりました。
Spotify
Spotifyとの思い出
「僕の大好きだった」と言いましたが、実は私エモジマ、以前このサービスのヘビィユーザーでした。
Spotifyとの出会いは5年ほど前、2011年秋。ろくに英語も話せないままアメリカのカレッジに入学し半年間ほど勉強に励んでいた頃、スウェーデン人のクラスメイトから教えてもらったのです。
日本から遠く離れた異国で、TSUTAYAもなく、友達もいなく、寂しい思いをしていた僕の側にSpotifyはいつも一緒にいてくれました。(本当にSpotifyとNetflixだけが友達だったかもしれない…笑)
学校を卒業したのが2012年3月。アメリカの銀行にヘソクリを残し帰国し、その貯蓄で月$10程度の利用料を払い続けていました。
2011年後半にHuluが上陸。その後定額制配信サービスに関する認知は日本でも高まり、Spotifyも幾度となく上陸の噂が流れましたが、待てど暮らせど音沙汰なしという状況が続いていました…。
そして悲しいことに、学生の余った小遣い程度のお金はあっけなく底をつき、2014年の終り頃、僕はSpotifyとお別れすることになってしまったのです。
日本でもサブスクリプション型サービスの流れが
Spotifyとの別れを経験し路頭に迷っていた頃、遂に日本にもサブスクリプション型音楽配信サービスの流れがやってきました。
まず2015年前半にAWA、LINE MUSICといった国内発のサービスが開始。そして7月には、Apple Musicが世界でリリースされました。気持ちはSpotifyを待ち続けながら、それぞれのサービスをトライアルし、僕はApple Musicを選ぶことにしました。
Apple Musicの良さはやはりラインナップの充実度。そして、iTunesライブラリをクラウド経由で同期ができることが決め手です。これまでの自分をそのまま大切にしてくれている感じに惚れました…。
iPhoneや仕事用のMacにも同じライブラリを展開でき、自分の持っている音源ファイルをクラウド経由でストリーミングできるため、スマホ本体にデータを入れる必要がないのです。すごい便利!
こうしていつしかSpotifyを待ち続ける気持ちは薄れ、僕はApple Musicなしでは生きていけなくなったのでした…。
1つのサービスと「結婚する」という感覚
サブスクリプション型サービスの大きな利点の1つに「月額1,000円程度で聴き放題」があります。しかし、これは逆を言うと、そのサービスにラインナップされていないものは、余計にお金がかかるということです。「Apple MusicにはあのアーティストはないからAWAも登録…」となってしまうと、結果2倍程度の金額がかかってしまい、定額のメリットが薄れてしまいます。
サブスクリプション型音楽配信サービスがどんどん普及していく中で、僕たちはそのうちのどれか1つを信用して選択しなければいけません。これは、音楽を聴くというプラットフォームを1つに絞り、二人三脚で歩いていくという感覚に近いのです。
サービスが乱立することによるジレンマ
インターネットが発達し音楽がストリーミング再生できることにより、音楽は爆発的に拡散できるようになりました。YouTubeのURLを貼れば、SNSを通してすぐにシェアすることができます。
サブスクリプション型サービスを利用すれば、同じことがアルバム単位、楽曲単位で可能になります。SNSでオススメのアルバムのURLをクリックすれば、即座にライブラリに登録することが可能。ディスクレビューを見てCD屋さんにいって買って聴くという従来の工程を、ワンクリックできるようになるのです。
しかし、これは同じサービスを利用していることに依存します。YouTubeであればブラウザで誰でもアクセスが可能ですが、Apple MusicのURLがシェアされていても、AWAを常用している人は再生することができないのです。
競合が全くいないというのも問題ですが、音楽を爆発的に広める可能性を持ちながら、サービスが分かれることでジレンマが発生してしまいます。
Spotifyは日本のサブスクリプション型サービスにどんな影響を与える?
ちなみに定額制、定額制と言っていましたが、Spotifyは無料で利用できる範囲もあるフリーミアムモデルのサービスです。その点気軽に利用できるため、この無料枠をきっかけに、これまで月額課金が障壁になっていたライトユーザーへのリーチが期待され、サブスクリプション型サービスの便利さに対する認識の改善が見込まれます。
スマホアプリからの利用はアルバムがシャッフル再生のみになるといった不便さはありますが、無料枠から実際に有料会員になる人も多く、有料アクティブユーザー数は3月時点で3,000万人を超えていると発表されています。Apple Musicが6月時点で1,500万人と言われており、依然としてサブスクリプション型の最大手としてのイメージを持たれています。
しかし、国内でもAvexがやっているAWAや、学割が効いたりLINEでログインできるLINE MUSICなど、サービスそれぞれの魅力があります。ラインナップにも微妙な違いがあり、トップに表示されるアーティストにもそのサービスの色がよく出ています。どのサービスが適しているかはリスナーの趣味趣向次第であると言えます。
サービスが充実してきたところで、日本のユーザーもいよいよどれを選ぼうか?という段階に来ているのかもしれません。あなたもあなたにピッタリの素敵なサービスと出会えるといいですね!
※余談ですが、エモジマは平日の朝に「#エモジマのススメ」というハッシュタグでApple Musicにあるオススメのアルバムを紹介しています。

エモジマ

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