みなさん、こんにちは。船津です。
前回、気まぐれでIoTに思いを馳せてみましたが、今回は、マーケティング施策でよく利用される「クーポン」について考えてみたいと思います。
突然ですが、皆さんはクーポンは好きですか?
僕がよく行くTOHOシネマズでは、映画を6回見ると1回無料で見ることができるというクーポンが配られています。(月並みですが、「君の名は。」は面白かったです。)
ラーメン屋さんでは、次回から使える大盛り無料などのクーポンがよく配布されていますよね。
拡大解釈すれば、季節の変わり目によく行われているセールも、全員が対象のクーポンを配っていると考えられるでしょう。
こんな風にクーポンが配られていると、”もう少しでクーポンが貰えそうだから、来週また行ってみよう!”だとか”安い!買うつもりはなかったけれど買っちゃえ!”と思っちゃいますよね。
このように、クーポンは消費者の購買意欲を刺激するので、企業は売上(利益)増加を目論んで、クーポンをどんどん発行するわけです。
ですが、そのクーポン…本当に売上(利益)を伸ばせているのでしょうか?
クーポンが企業に与える効果について、経済学でおなじみの「需要曲線」を用いて考えてみたいと思います。
需要曲線って?
その前に、「需要曲線」というものを簡単にご紹介したいと思います。
「需要曲線」とは、ある商品(経済学では”財”なんて言ったりします)の需要を価格と需要量の二軸で表したものです。
こう言ってしまうと難しく聞こえますが、「商品Aは価格が高くなれば需要量は減って、価格が安くなれば需要量が増える」といったことをグラフで表現しているだけです。
例えば、前述の映画のチケットについて考えてみましょう。
1,000円(価格)なら映画を見る人(需要量)は100人居て、2,000円でも50人が映画を見てくれるとします。
もし、価格と需要量が比例しているとしたら、映画のチケットの需要曲線はこんな感じです。
図1:映画のチケットの需要曲線
ここで仮に映画のチケットが無限にあるとすると、価格に応じた需要量分だけ製品が購入されます。
そのため、売上は「価格 × 需要量」で表現することができます。
図2:需要曲線が示す映画のチケットの売上
つまり、仮に価格を1,500円に設定したら、需要量は75人なので、売上は112,500円です。
クーポンの需要分析をしてみよう
それでは、本題のクーポンの効果についてです。
現在の映画のチケットの価格が1,500円だとしまよう。(需要曲線は前述の例と同じとします。)
競争が厳しい昨今の映画業界を生き残るため、500円のクーポンを発行することにします。
そうすると、チケットの価格は1,000円になるので、100人の来場者を見込むことができます。
チケットの価格が1,500円の時は75人しか来場しなかったので、来場者数は33%UPです!
・・・
ですが、ちょっと待ってください。
一番大切なのは売上(利益)であるはずです。
そして、その肝心な売上(利益)はなんと11%DOWN…。
図3:単純な500円引きクーポンの場合
こんなクーポン、やらないほうが良いですよね…?
クーポンを有効に使うには
そうはいっても、クーポンの持つ力は侮れません。
上手く使えば、消費者の需要を刺激し、売上(利益)も増加させることができるはずです。
それでは、どうすればそんなことができるのでしょうか。
簡単です。
クーポンがないと来てくれない人にだけ、クーポンを配れば良いのです。
例えば、1,500円で買ってくれる人には1,500円でチケットを販売し、1,000円でないと買ってくれない人にだけ、500円割引のクーポンを配布するとします。
すると、1,500円で買ってくれる人は75人いるので、売上は112,500円です。
さらに、1,000円で買ってくれる人が25人いるので、売上は25,000円です。
これらを合わせると137,500円となり、クーポンを発行せずに1,500円のみで販売した場合と比べて、売上は22%UPです!
図4:クーポンを組み合わせた定価販売の売上
クーポンを出し分ける対象の探し方
ここで大変なのは、誰が1,500円で買ってくれて、誰が1,000円で買ってくれるのかを見分けることです。
しかし、購買履歴やWebでの行動など、様々なデータが収集され、比較的手軽に分析できるようになった現在では、不可能なことではありません。
例えば、RFM分析という購買データの分析フレームワークがあります。
このフレームワークは、直近購買実績、購買頻度、購買額の三軸で顧客セグメンテーションを行うもので、これにより、頻繁に購買を行い、購買額も大きい顧客を優良顧客層、一方、直近の購買実績がなく、購買頻度が低い顧客を課題顧客層といった具合に振り分けることが可能です。
この際、優良顧客層に対するコミュニケーションとして、クーポンの発行は正しい選択なのでしょうか。
このような層は、既存の価格や製品にすでに満足している場合が多く、クーポンを発行することではそこまで購買意欲は誘引されず、特別なイベントに招待されるなどといった、より深いブランドとのコミュニケーションを求める場合があります。
一方、課題顧客層については、どうでしょうか。
既存の価格やサービスに満足がいっていない可能性が高いため、クーポンを配布することで来店のきっかけを作れるかもしれません。
他にも、年齢、性別や職業といったデータを購買データやWeb行動データと組み合わせることによって、どんなユーザーであればクーポンがなくとも購入してくれるのか、知ることができそうな気がしませんか。
さらに、マーケティングオートメーションというシステムを用いれば、顧客行動のデータ分析からクーポンの送付まで自動で行うことができます。
もちろん、ここまでの話は、企業の売上(利益)を最大化させるという点のみで語られているため、顧客満足度といった視点も交えてこの議論を行う必要があります。
しかし、データ分析とマーケティングオートメーションを掛け合わせることによって、今までよりもっと大きな成果をより低コストで実現できる可能性を感じていただけたのではないでしょうか。
ウフルは、マーケティングオートメーションの導入支援で数多くの実績を持ち、データから顧客を読み解くデータサイエンティストや、マーケティングオートメーションの専門知識を有したコンサルタントが数多く在籍しています。
もし、マーケティングオートメーションやデータ分析の領域でお困りでしたら、いつでもお気軽にお問合せください。
船津 浩司
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