焼き鳥の匂いに誘われて~春~

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みなさんこんにちは!
先日熱を出して体中の水分が全部持っていかれたさぬきです。インフルエンザの勢いは収まったものの、まだまだ空気も乾燥しているのでみなさまも気を付けてお過ごしください。

さて、今日は五感とマーケティングについてお話します。
年末に私が青森に帰省した時のことです。父親と買い出しに出たときに、移動式の焼き鳥屋さんがスーパーの前で販売していて焼き鳥のあのいい匂いが漂ってきました。

父    「やっぱ焼き鳥とビールだよね。」
さぬき 「間違いない。焼き鳥食べたい。」
父    「あんな匂いしてたら買っちゃうよね~。」
さぬき 「間違いない。」

“焼き鳥”という文字や写真が提示されているわけではないのに、匂いだけで人の購買意欲をぐっと引き立てました。この時は実際に匂いにそそられて焼き鳥を購入!見事私たちは焼き鳥の消費者になったのです。
(私の父に対するやる気のなさは気にしないでください。これでも父親が東京に出張してきた時は必ず一緒に飲みに行くほど仲が良いです。)

受け取る情報量の違い

五感から受け取る情報量には偏りがあり、『産業教育機器システム便覧』によると視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1%とされているそうです。

実際に目で見た情報というのは受ける印象に強く影響するものです。例えば、カフェに入った時に白を基調にした明るい店内、笑顔の店員さんがいると活発なイメージを持ちますよね。逆に暗めの照明、落ち着いた店員さんだとまたイメージも変わってきます。自分の好きな雰囲気のカフェを選ぶ基準に視覚情報は影響してきますね。

前回の記事ではインスタ映えについて紹介しましたが、インスタ映えする写真は視覚に効果的に訴え「行ってみたい」「食べたい」「欲しい」という感情を誘発しています。

匂いは3.5%?

嗅覚

冒頭でもお話しましたが、私は嗅覚から受け取った情報によって食欲を掻き立てられ、“焼き鳥を買う”という焼き鳥屋さんのコンバージョンを達成しています。しかし嗅覚から受け取る情報量は3.5%とそれほど高くはありません。これはどういうことでしょうか。

実は、一番記憶に残る五感は嗅覚だとも言われています。
嗅覚に影響する脳の部分と海馬は隣り合わせになっているので、匂いと記憶は密接に関係しているのです。

脳には本能や情動を担当する「大脳辺縁系」と思考を担当する理性的な「大脳新皮質」という部分があります。前者の大脳辺縁系に海馬と呼ばれる記憶をつかさどる器官があって、あらゆる情報はいったん短期記憶として海馬に保管されます。そして何度も思い出すような情報は海馬で長期記憶に変換されるのです。

実は五感の中で嗅覚だけが、この海馬に直接情報を送ることができます。嗅覚以外の五感による情報はいったん大脳新皮質を通って海馬に運ばれますが、嗅覚の情報は大脳新皮質を介しません。

(引用:http://studyhacker.net/columns/aroma-brain )

私は大学時代のとある時期から焼き鳥を良く食べるようになり、今では大好物です。
つまり、美味しい焼き鳥を食べたときに焼き鳥の匂いを記憶していて、それから焼き鳥を焼いている匂いやタレの香りが漂ってくると過去に経験した美味しさの記憶が蘇り、無意識に購買意欲がわいてくるようになったのではないかと思います。

五感を有効に使った演出

香水

最近では五感への訴求とデジタルの演出を組み合わせた体感型のイベントも増えてきています。

アートアクアリウムは、多種の金魚を様々な形の水槽で泳がせることで現代における江戸の花街を表現しています。煌びやかな照明や映像(視覚)と宇宙をイメージした音楽(聴覚)を用いることで、宇宙に錦鯉が旅立つような不思議な感覚を味わうことができます。
(※現在は終了しています。)

ロクシタンでも桜をモチーフとしたアート空間や立春を感じる花のデジタルアートを展開するイベントを3月20日まで開催しています。生花・オブジェ・映像(視覚)、香り(嗅覚)、飲食(味覚)などを、桜吹雪が舞い上がる空間の中で楽しむことができるようです。

マーケティングと五感

イベント

私の焼き鳥を見事に買ってしまった体験談のように、五感を刺激するマーケティングは日常に溢れています。それは必ずしも意図したものではないかもしれませんが、受け取る側には有効に働いていたのです。

匂いや色など、直感的にわかるものは言葉のように理解するまでの時間が短いのでマーケティングとしてとても効果的です。さらに五感同士を組み合わせることで新しい楽しみ方や発見が生まれます。

五感を刺激するようなコンテンツを発信することは、無意識的に印象づけたり記憶させたりするので、宣伝色や押し売り感を抑えて情報を届けることができます。また、前述したイベントのように、五感とデジタルを組み合わせた体感・体験を提供することで、普段デジタルとの関わりが少ない人や環境へ対しても最新のソリューションなどをアプローチすることができるのではないでしょうか。今後さらにデジタルと五感を組み合わせたアプローチも増えていきそうですね!

ところで、焼き鳥食べたくなってきませんか?

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さぬき

居酒屋ではだし巻き卵とエイヒレを必ず頼む1993年生まれの青森系女子。女性目線でのマーケティングをできるよういそいそと勉強中。流行り物はとりあえず好きになる。今年の目標は”丁寧な生活・いい暮らしをする”こと。
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