IoTとマーケティング – バルセロナシティに見る「需要と供給の高度な調整」

IoT-Marketing
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みなさん、はじめまして。
ウフルでマーケティングコンサルタントを務めている船津と申します。

突然ですが、皆さんはIoT(Internet of Things)という言葉をご存知でしょうか。
最近、巷を賑わせている例のアレです。
以前フルタ氏の記事でも取り扱ったテーマですが、 僕自身もとても面白い領域だと思います。
そこでこの記事では、IoTがマーケティングにどのような影響を与えるのか、今一度、僕なりに考えてみたいと思います。

IoTとは?

その前に、IoTとはそもそも何なのでしょうか。
IoTとは、文字通り『いろんなモノをインターネットにつなげてしまおう!』という考え方です。
IoE(Internet of Everything)とも言われ、物理的なモノに限らず『ありとあらゆるモノ』をインターネットにつなごうという考えもあります。
この『ありとあらゆるモノ』というのがクセモノなのですが、本当に『ありとあらゆモノ』なんです。

スマートな街、バルセロナ

ここで、スペインのバルセロナシティの例を見てみましょう。
ご存知でしたか?
実はバルセロナシティは随所にIoTが施された最先端の街なんです。
バルセロナシティは、街全体をインターネットにつなげ、それにより大きなメリットを享受しています。

例えば、バルセロナシティでは駐車場を探すために、通りを延々と走り続ける必要はありません。
バルセロナシティの駐車場にはセンサーが取り付けられており、Wi-Fiを通じて、駐車場の稼働状況がドライバーのスマートフォンにリアルタイムで提供されているからです。
これにより、人々が駐車場を探す必要がないばかりか、駐車場の稼働率を高め、駐車場収入を増加させることができます。

また、バルセロナシティではゴミ収集が行われない日があります。ゴミ収集場に付いているセンサーが、ゴミの量や腐敗度などのデータを市にリアルタイムで送っているからです。
その情報から収集場に訪れるべきか否かを判断し、ゴミ収集車は回収の必要がある収集場だけを通るルートを選択します。これによって、市はゴミ収集に関わる費用の削減に成功しています。
バルセロナシティはほかにも様々なIoTの取組みを行っており、年間89億ユーロ(1ユーロ114円換算で約1兆円)の価値を創造していると言われています。(Cisco調べ)
※参考:http://www.ipsj.or.jp/event/sj/sj2015/l2ist800000004av-img/Session1.pdf

IoTとマーケティング

ここで本題に戻り、IoTによるマーケティングへの影響を考えてみましょう。
IoTがマーケティングへ与える大きな影響の一つとして、「需要と供給の高度な調整」を挙げることができます。これまで、マーケティングに携わる多くの人が、「需要と供給」について頭を悩ませてきたと思います。

例えば、新製品を発売する際には、事前に入念な顧客調査を行い、その製品の需要がどの程度あるのかを計測しようとしてきました。そして、そこから推測される需要にもとづき、どの程度製品やサービスを供給すべきかを考えてきました。
また、もし需要量が予想より少なそうだと判断されれば、価格を下げるキャンペーンを行ったり、広告を出稿するなどして、その需要を刺激しようとしてきました。

しかし、これらの作業は非常に労力と時間がかかるばかりか、「需要と供給」の正しい意思決定を行うことは非常に困難なことでした。
さらにそれは消費者も同様でした。消費者も自分が欲しているものが、どこでどれほど供給されているか知ることが難しかったのです。

なぜこれらが困難だったのでしょうか。それは、情報が不足していたからです。
これまでは、取得できる情報に限界があり、また、情報の取得には時間がかかりました。そのため企業と消費者がお互いにそれぞれの「需要と供給」を認知できず、そこにギャップが生まれ損失となっていたのです。

* * *

IoTによってなぜ「需要と供給の高度な調整」が実現できるのかというと、取得できる情報の量と、その取得にかかる時間が圧倒的に改善されるからです。

バルセロナシティの例を振り返ってみましょう。
駐車場の場合は、これまで把握することが難しかった街全体の駐車場の空き情報が、リアルタイムに利用者へ提供されています。ごみ収集場も同様に、複数ヶ所のゴミの量がリアルタイムにゴミ収集車と共有されています。
このように、「需要と供給」の情報がこれまでにはなかった量と即時性を伴って共有されることにより、「需要と供給の高度な調整」が実現されるのです。
Barcelona

IoTをマーケティングに活かすための課題

このように、マーケティングにおいても大きな効果を期待できるIoTですが、課題もあります。

一つは、必要な情報をデザインしなければならないということです。
以前、タナカ氏の記事で言及されていましたが、効果的な取組みを行うにはどのような情報が必要かをしっかりとデザインしなければなりません。しかし、この情報のデザインには、非常に高度な専門性が要求されます。

もう一つは、情報の氾濫です。必要な情報を収集できる仕組みを構築したとしても、その情報があまりに膨大で多岐に渡る場合、高度なスキルを持つ人でなければ、価値を生み出せない情報になってしまう可能性があります。

ウフルの取組み

ウフルには、上記の課題に取り組むため、IoTイノベーションセンターというIoTのプロフェッショナル集団や、多数のマーケティングコンサルタント、データサイエンティストが在籍しています。
そのため、最適な情報をデザインするのに必要な知識やノウハウを有しています。

また、EMIという情報を伝えることに特化した独自の情報可視化ツールをご提供しています。
専門的な知識がなくても直感的に理解しやすい、つまり、”右脳に直撃する”情報ダッシュボードの展開が可能です。

IoTという夢溢れる領域で、皆さまと協創できる機会をいただけることを、心よりお待ちしています。

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船津 浩司

マーケティングコンサルタント。MBA(青山学院大学ビジネスクール)。 ITや新しいことが好き。あと、山も好き。山に行きたくてしようがない。
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