LINE Beacon の本質を考える
ある日、友人と飲む約束をしていて時間をつぶそうと駅ビルに入ったところスマホが反応しました。待ち受け画面上部に緑色のヘッダーが表示され、「ビル内にユニクロがあります!」と呼ばれたのです。よく見ると「LINE Beacon」の文字が表示されていました。
そのときは「ほーこれがLINE Beaconか」と思う程度だったのですが、よくよく考えたら、これは本質的には「客引きのデジタル化」でもあると思うのです。
店頭に人が立ってお客様を呼び込むスタイルを「客引き」と呼びますが、お客様を自分の店に呼びたいという当然の気持ちがエスカレートして迷惑行為につながることもあるため、これを規制する法律も存在しています。
人間がすることなので仕方ないという側面もありますが、デジタルであれば対人で断るという積極的なアクションが不要になる点が、顧客側のメリットになると考えます。
ただ、迷惑メール規制法のように、デジタルにおいてもいきすぎた勧誘は今後規制される可能性も充分ありますので、当然お客様のメリットを重視したコミュニケーションを構築することが重要なのは変わりません。
LINE Beacon が「客引きのデジタル化」だとして、呼び込み→来店以外の購買体験についてのデジタル化はいまどうなっているのでしょうか。
あらゆる店舗購買体験がデジタル化される
店舗での購買体験は来店だけでなく、その前後にポイントがいくつもあります。ということでまずは店舗購買体験フローを見てみましょう。
【店舗購買体験のフロー】
そして店舗購買体験の各ステップの、いまあるデジタル施策の一覧が下記となります。
【店舗購買体験のフローとそれぞれのデジタル施策】
事前認知
「事前認知」は顧客が店舗の近くにいない段階でブランド情報・店舗情報をお知らせします。ここでは広告とそれに近い施策を使いますが、最近ではアプリに対するプッシュ通知という手段も増えています。
再認知
「認知」では顧客が店舗の近くにいる段階における施策です。GeoFencing とは GPS によって店舗の(たとえば)半径100m以内に近づいたタイミング(または半径から出たタイミング)でアプリにプッシュを送る施策を言います。
呼び込み
そして本稿の冒頭でふれた Beacon。GeoFencing 同様、店舗の近くの顧客に対するアプローチですが、 GeoFencing よりも顧客が店舗に近い状態の場合に有効です。
来店・商品確認、接客・商品説明
「来店」と「商品確認」のステップにはまだ「これ!」といったデジタル施策はありませんが、接客や関連商品レコメンドは、アプリ内やECサイト内にて実現しています。
購入
「購入」においても現金払いではないスマホベースの支払い方法が出てきています。
会員登録
紙のポイントカードだと紛失や再発行、再来店時に持っていないなどの課題がありますが、アプリで会員登録するとスマホさえ持っていればほぼ一意に顧客が認識できる利点があります。
さて、各ステップのデジタル化は結構進んでいるように見えますが、店舗購買体験のデジタル化は完成していると言えるのでしょうか。
次の段階は店舗内のデジタル化
店舗購買体験のうち、「来店」「商品確認」「接客・商品説明」のポイントにおいてはまだデジタル化の余地があり、顧客にとっての購買体験をより良くするチャンスが含まれています。
そして顧客体験を分析・改善する企業側にとって、現状では下記のような課題が存在しています。
【現状の課題】
■POS(レジ)を通さないと来店したことがわからない
レジを通って初めて来店が記録されるため、ECでは可能な、「来店はしているけど購買に到らなかった顧客」の分析ができません。
■オフライン施策のコンバージョンがとれない
メールやネット広告のオンライン施策では可能な、「情報を見た人がその情報をもとにECに流入し、購買まで到達した」ことが確認できません。
しかし、店舗のデジタル化が進めば、店舗内で アプリがBeaconを受信して記録・サーバーにデータを転送することで、店舗に来店したことをトラッキング可能になりますし、事前にレコメンドしていた商品の近くまで来たかどうかもわかるようになります。また、アプリを商品にかざして(バーコード読み取りなど)その商品のレビュー情報を確認したり関連商品を確認したりすることで、店舗内接客をスマホに代替させることも可能になります。
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このように、デジタルマーケティングの次のフェーズとして、店舗のデジタル化に関する概念( Connected Retail や IoT in Retail と呼ばれています)の提唱や取り組みが始まっていますが、店舗内だけではなく、既存の購買体験全体をデジタル化するのがゴールだったりするのです。
店舗内のデジタル化が実現できれば、企業およびブランドと、顧客のコミュニケーションをトータルで最適化でき、企業と顧客両方ともにハッピーになることができそうですね。
ウフルでの取り組み
ウフルではデジタルマーケティング全体の設計はもちろん、店舗のIoT化にも取り組んでおりますので、ご興味ある方は、下のボタンよりまずご相談ください。
フルタ
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