コンテンツマーケティングを成功に導くための手法

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重要なキャラクター設定と多様性

ここまでの連載記事の中で、コンテンツマーケティングにおいて重要なのはエンゲージメントを高めることだと述べてきました。一方で、この言葉の具体的なイメージは十人十色で具体性に欠けるものではないかと思います。しかし、これはこれで一つの答えを示しています。
人の心の琴線に触れる内容というのは千差万別であり、不確定な要素が非常に多いものです。ちょっとした言い回しや修飾語の違いで異なってきたりもしますし、大きな構造が原因であったりもします。
ただ、往々にしてあるのは、より個人的な、好き嫌いの出る内容の方が心の距離感を狭められるというケース。マーケティングにおいては、セグメントを分けて、そのセグメントに特化した情報を配信していくことで効果を上げるというのは一つの常識として存在しますが、この琴線に触れるという点は正に同義で、より個人に紐づけられた情報であるほどエンゲージメントが高まる可能性は上がります。
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平易な無味乾燥とした内容よりは記者の個性が発揮された文面の方が個への適性は上がりますし、より詳細で専門的な内容の方が特定の個に刺さる可能性が上がるということです。
その一方で、そういった個性や専門性は、ヘイトの対象となったり、炎上の原因となったりもしがちです。コンテンツマーケティングにおいてこういった個性を活かすに当たっては、記事のオーソリティを明示することと、異なる個に対応できる多様性を用意するということも重要になってきます。一方の記者は好きではないけれど、こちらの記者は好きといった具合にバランスを取ることができれば、より多くのユーザーを獲得することが可能となるわけです。

もちろん、ただ多様性ばかりを求めれば良いというわけではなく、全体としての統一感も必要です。その場で語られていることの方向性があまりにも反目しあっているようでは、サイトとしての信用を失ってしまいます。方向性が同じであれば、他につられて、好みではなかった記者のものに対するヘイトも和らぐということもあります。
つまり、ここにおける記者の個性というのは、ある種のキャラクター設定であり、全体の中の個ということになります。とはいえ、エンゲージメントが高まれば高まるほど、上辺だけのキャラクター設定というのは化けの皮が剥がれてしまいますので、真実に則した、コントロールされたペルソナであることが求められます。

データで語るという専門性

先ほど個性と併せて専門性もまた個に刺さるという話をしましたが、一口に専門性と言っても、求められるレベル感は個々の習熟度によって異なってきます。こういった場合に有効となる手段は、データを用いるということです。
ここで示すデータは、事実に基づくものであれば特に種類は問いません。重要なのはそれが一つの客観的事実を示しているということです。
例えばユーザーアンケートなどもこの一つです。討論番組などで必ずフリップでグラフを用いますが、方法論としては同じです。雑誌やシンクタンクなどで「○○白書」といった情報が公開されるのも同様です。統計的な正確さを求めるならば、母数として1000人ほど欲しいところではありますが、そこまでの数がなくとも、読者が自ら手に入れることが容易でないデータであれば、充分な価値を持ちます。
アンケートを取っても中々回答が得られないという方には、ソーシャルのデータを用いるというのも一つの手段です。オープングラフで公開されているデータは多岐に及び、その内容はアンケートなどのバイアスがかかってしまいがちなものよりも生の声に近く、データとして価値の高い情報を収集することが可能です。

こういったソーシャルのデータは、弊社でもソーシャルリスニングで扱っているRadian6などのツールを用いることで簡単に収集することができます。ソーシャルリスニングというとブランド調査やイベントなどの反響調査のイメージが強いところもありますが、こういったコンテンツマーケティングにも転用できるのです。
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そして更にもう一歩拡散力を持たせるならば、こういったデータを組み合わせてインフォグラフィックスを作成することも手です。優れたインフォグラフィックスはその画像自体が拡散力を持ち、画像検索による集客力までも期待できる大きな武器となり得ます。

エンゲージメント主体に組み立てたコンテンツは、接点をどのように作るかに主眼を置きます。とはいえ、その内容自体は様々な要素を盛り込むことも可能で、記事によってはアクションに直結するようなLPO的内容や、より距離の遠いターゲットに向けた啓蒙を行うリードナーチャリング的内容に、はたまた拡散性を主体としたSEO的な目的を強く置くなど、様々な方法論での展開が可能です。
こういった多様性も含め、より幅広い効果を期待できることがコンテンツマーケティングの強みでもあり、その幅広い対応力を活かせるだけの専門性・戦略性が必要な、特異なマーケティング分野なのです。

強いキャラ付けやソーシャルデータのコンテンツ活用のサンプルとしては、同ラボのNOWAY研究員の記事を見てもらえば分かり易いかもしれない。強いキャラクター性とデータでの裏付けのある彼の記事は、エンターテインメント性もありながら、専門的知識も備えている。これは実際に彼の特性を存分に活かした記事群だ。
一方でこういった軽いノリを嫌う人もいる。そういった人には、本稿のようなマーケティングの歴史を追って話すものや、TAIZO研究員のようなシンプルコミュニケーションを用いるものなど、オルタナティブを用意する形で、バランスを取りつつも全体の方向性は担保するよう留意しながら当ラボは執筆を進めている。
当ラボ自体、コンテンツマーケティングのサンプルとして各記事を渡り読んでもらうというのも、一つの手かもしれない。

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タナカさん

兵庫県出身。2003年東京外国語大学大学院修了(学術修士)。ウフル・マーケティングインテリジェンス本部(旧マーケティングクラウド本部)のたぶんちょっとエライ人(弊社CSOの田中正道とは別人)。 データドリブンなマーケティングに関して、その仕組みの設計からクリエイティブまで経験。趣味はバルトやデュルーズといった現代思想の研究から草の根音楽活動までと多岐に渡る。要するにオタク。
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