さて、今回は、「ゲーミフィケーション」の2回目です。
某ショッピングサイト担当の二人やおうさまと一緒に、様々な業務への活用法を見ていきましょう。
おお、まさひこ、よくぞ戻ってきた。おぬしは次のレベルまで36の経験値が必要じゃ。がんばるのじゃぞ。
勝手にいなくなったのは、あんただろ。おれはずっとここに居たっつーの。
まずは、
前回のおさらいからじゃ。ゲーミフィケーションの技術にはどんなものがあったかの?
他にも技術はたくさんあるのじゃが、その中でも、まだ大事な技術が残っておるのじゃ。
例えば、RPGをやっていて、せっかくレベルが上がっても処理に時間がかかって、実際にレベルアップするのは二時間後です、なんてゲームがあったらどう思うかの?
まったく興ざめだな、クソゲーの烙印を押して二度とやらないだろう。
「即時性」じゃ。反応がすぐに来ることで、相手を飽きさせず、ゲームにひきつけさせ続ける基本技術のひとつなのじゃ。
さきほどのポイントカードでも、ポイントはその場ですぐ押してくれて、今何ポイントかすぐわかって、一杯になれば次の会計からすぐに使えるような仕組みができているから顧客も計算ができ、「使える」ツールになるわけじゃ。
やっぱり、レベルアップしたら、タタタタッタッタッター!ってあのフレーズがすぐに鳴るからがんばれるところあるよね。
* * *
ゲーミフィケーションの業務への活用と成功条件
とまあ、もちろんこの技術はWebサイトとの相性も良いから、おぬしたちのショッピングサイトでも早速使えるじゃろ。
なるほど、これは面白くなりそうだ。俺の企画マン魂が燃えてきたぜ!
ところでまさひこ!バイトくんにお願いしてたアンケートの集計がまだできていないみたいなんだけど。
なに?なにやってるんだあいつら!ここはひとつ俺がガツんと。おいバイトくん、アンケート集計はいつになったらできるんだ?
まさひこよ、ただそうやって怒鳴っても人の心は動かぬぞよ。
実はここでも「ゲーミフィケーション」が役に立つのじゃ。
「ゲーミフィケーション」は、エクスターナルマーケティングだけじゃなくて、インターナルマーケティングにも役に立つというわけかしら?
ゲーミフィケーションの技術についてはいくつか既に紹介したが、その成功条件を4つにまとめると以下のようになるのじゃ。
【ゲーミフィケーション成功の4条件】
1.課題の明確化
2.現状の見える化
3.即時フィードバック
4.達成報酬の魅力
ゴールしたり達成したりすると、感動できたりご褒美がもらえること
今までに出てきたいろんな技術もこのどれかに含まれるようね。
でも、これをどうやってインターナルマーケティングにつなげるんだ?
* * *
秀吉に見る、ゲーミフィケーション活用術
最近はやりの真田丸にも登場する豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎と呼ばれていたころのことじゃ。
洪水で崩れた織田信長の居城、清洲城の修復を何人もの織田家の重臣が担当したが、遅々として進まず、そこに手を挙げた木下藤吉郎が担当するとたったの3日で工事を完了させたということじゃ。
それを聞いた信長は藤吉郎の才に感心し、褒美をはずんだらしい。
誰もできなかった修復工事を3日で終わらせることができた秘密のカギが「ゲーミフィケーション」だったということね?
400年以上前の戦国時代に既に「ゲーミフィケーション」が活用されていたとはすごいわね!
もちろんデジタルマーケティングへの適用は最近の話じゃが、本質的には、古くから実績のあるノウハウなのじゃよ。
まず藤吉郎は、全部で100間(約180m)ある城壁を、10区画に分割して、それぞれの組に人夫を割り当て、賞罰を明確にして競争させたのじゃ。
そして、各組に対して、担当区画に下から上へ土を積み上げるよう工事の指示をだしたのじゃ。(1.課題の明確化)
こうして、その日に積み上げた土の高さで、各組の成績(工事の進捗具合)がひと目でわかるようにしたわけじゃ。(2.現状の見える化)
さらに通常100文の日当を、その日一番高く積み上げた組には5倍、2番目の組には4倍、3番目の組には3倍にし、なんとその日のうちに支払ったのじゃ。(3.即時フィードバック)
そして、予定よりも早く完成させたら、日当とは別に褒美を出すことを約束したのじゃ。(4.達成報酬の魅力)
その結果、たった3日間での超短納期が実現したわけね。
なるほど、人間集団のモチベーションがいかに大事かをまざまざと感じるエピソードだな。
「ゲーミフィケーション」のノウハウが、インターナルマーケティングに如何に役立つか、分かってもらえたかの?
平成のマーケターであるこのオレが、戦国時代に負けるわけにはいかねえ!
どうやら、エクスターナルもインターナルも、マーケテイングに「ゲーミフィケーション」をどう活用すれば良いか気づいたようじゃな。
天空の城からいつでも見守っておるぞ、全国のまさひこ、あきなたちよ。
というわけで、一旦、「ゲーミフィケーション」のお話は終了です。
また次回のお話をお楽しみに。
<参考文献>
ゲーミフィケーション ―<ゲーム>がビジネスを変える(井上明人)
ゲームにすればうまくいく ―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク(深田浩嗣)
顧客を生み出すビジネス新戦略 ゲーミフィケーション(神馬豪/石田宏実/木下裕次)
「仕事のゲーム化」でやる気モードに変える(長尾一洋/清水健一)
ゲームの力が会社を変える(岡村健右)
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神奈川県出身。一橋大学社会学部卒。中小企業診断士。NTT、セガ等を経て現在ウフル・マーケティングクラウド本部に所属。勘だけに頼らず、定量的な根拠に基づくWebサイト運営を是とするPDCA-Webマーケター。その一方で星座の世界を好むロマンチストでもある。禁煙には成功したが、ダイエットは成功の糸口さえ見えない今日この頃である。