プロジェクトを進めるにあたって、組織の状況は重要なファクターとなる。組織が持つリソース、能力、文化など多岐に渡るが、今回は組織設計に焦点を当てて話を進めていくことにする。
というのも、組織設計は前述の項目に密接に関係し、相互に因果を持っていると考えることができるからである。
※リソースや能力に合わせて組織が編成され、組織編成が文化を作る一端となるというような話である。
さて、プロジェクトにも沢山の形があるように、組織も様々だ。プロジェクトの成否のためには組織の仕組みをよく理解する必要がある。
というのも、プロジェクトマネージャー(プロマネ)もその能力を発揮するためには、環境に適応することが求められるからだ。組織の種類によって、プロマネの権限も大きく変わってくるので、アプローチやマネジメントのスタイルも合わせて変えていく必要がある。
機能型組織
一般的に多くの会社ではこの組織体系を採用している場合が多いのではないだろうか。各機能ごとにマネージャーがいて、いわゆる縦割りの組織になっている。各専門性をもつスタッフ同士がチームとなっているため、ノウハウが伝達しやすく、スキルレベルも向上する。また、指示系統も基本的に一本なので、コミュニケーションもシンプルということになる。
しかしプロジェクトを推進していく上では、障害が高い組織体系となる。上の図のようにプロジェクトは基本的に各機能部門を巻き込むことが多い。
特に弊社のようにイノベーティブなプロジェクトをやるためには、部門を横断してのチーム連携が必要になる。
この時、機能部門のマネージャーとプロマネの権限バランスが、プロジェクトの進行に大きな影響を与えることになる。権限が弱いプロマネの役割は単なる調整役となってしまい、十分に能力を発揮することができないかもしれない。
プロジェクト型組織
対して、プロジェクト単位で組織が組まれている場合を、プロジェクト型組織と呼ぶ。
この組織では、プロマネの権限が最大となる。組織はプロジェクトの成功のために編成されているので、当然、評価もプロマネが決める。新規立ち上げの事業会社はこのスタイルに近いのではないだろうか。
しかし、プロジェクトは有期的であることが前提なので、終了したら解散してしまう運命なのである。つまり、プロジェクトごとにメンバーは入れ替えとなるので、ノウハウが蓄積しにくく、永続的に仕組みを運営するには向かない。まさに短距離走専門の組織形態だ。
マトリックス型組織
前述の2つの組織を融合させたものに、マトリックス型組織がある。お互いのメリットを融合させようというものだが、マネージャーが2人いることでのレポートライン、評価、リソースの優先度の取り合いなど、問題も多い。
実際は、機能型組織を横断してプロジェクトチームを編成しているというのが現実的だろう。
プロジェクトへのコミットメント
プロジェクトは新しいものを生み出すものである。一方機能部門は、生産性を上げたり、コスト効率を高めたりなど、既存の事業をより良くするものということになる。
大げさに言うならば、前者は0→1要素が強く、後者は1→100要素が強いということになる。
数字の示すとおり、0→1は苦労の割りに得られるものは短期的には1、対して1→100は99の利益があるのだ。組織が拡大していく上で、利益効率のよい組織体系になるというのは納得できる。
しかし、1を生み出さないと何も生まれない。
弊社では、機能部門を横断して多くのプロジェクトが進む。そして、その背景にはプロジェクトへの強いコミットメントがある。それはお客様の期待に応えること、そしてイノベーションを生み出すという強い思いが込められているのだ。
それでは、また次回。
NOWAY
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