【行動経済学×Webマーケティング編 その1】飛行機事故に遭う確率が0.0009%でも保険に入る心理とは?

TAIZO
行動経済学×マーケティング
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それでは、今回は今まで勉強してきた行動経済学をWebマーケティングの観点から、信一や羌花たちと一緒に考えていきましょう。


王木:ココココ。お二人ともお元気でしたかァ?今日はちょっとしたニュースがありますよォ。

信一:ニュースって何だ?

羌花:婆の話によれば、王木教授とはライバルの趙大学のリーボック教授の研究室と今度のマーケティング学会で成果を争うことになったらしい。リーボック教授の元にはホーケンという豪腕の主任研究員がいるようだ。

信一:しかし、キョウカの婆さんの情報収集力はものすごいな。CIAにでもいたのか?

羌花:いや、英国SISでジェームスと一緒にスペクターと戦ったらしい…。

王木:それでは、本題に入りましょうかね。勝、よろしく。

勝:ハッ、ファルファルファルファル。
確率加重関数
王木:さすがは勝、相変わらず速いですねぇ。

勝:ハッ、確率加重関数でございます。

羌花:なるほど、今回は保険の論理か。

信一:なんだ? 保険?

羌花:信、飛行機に乗るのは好きか?

信一:実はちょっと苦手なんだよな。鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられなくてさ。

羌花:このグラフの左下の「A」のオレンジ部分に着目するんだ。横軸は実際の確率を示し、縦軸は主観的な確率を示している。

信一:主観的な確率?

羌花:そうだ。婆に聞いた話では、飛行機に乗って死亡事故に遭う確率は0.0009%という調査結果があるらしい。これは毎日無作為に選んだ飛行機に乗っても、8,200年に1度遭うか遭わないかというレベルとのことだ。

信一:それでも0じゃないんだよな。

王木:しかし、信は美味しいハマり方をしてくれますねェ。信みたいな人が多いから、保険屋さんが成り立つわけじゃないですかァ。

羌花:0に近いほど、人は実際の確率よりも主観的な確率が大きくなる傾向がある。0.0009%でも大きく感じて不安になるわけだ。

信一:なるほど、それで保険業が成り立つわけだな。

羌花:それでは逆に、どんな大地震が来ても90%の確率で壊れない家があったら、信は買うか?

信一:10%の確率で壊れるんだろ?止めておくよ。

謎の男A:信というやつは、どうやら臆病者のようだな。

信一:なんだと?

謎の男B:確率加重関数の「B」のオレンジ部分を地で行くたわけものだな。確率が1に近づくと実際の確率よりも低く認知してしまう。ふぅ、そんなことでは神を身に宿すこのおれには決して勝てない。

信一:なんのこっちゃようわからんが、確率加重関数の「B」の部分が、「A」の部分の裏返しだっていうのは良くわかったよ。ところでこいつら一体誰だ?

王木:久しぶりですねェ、リーボック、そしてホーケン。

信一:何ぃ?こいつらが?

羌花:トーン、タンタン

ホーケン:ほう、神を身に落とせる者がいるとは、な。

王木:一体何の用ですかァ? 苦し紛れの敵情視察でしょうかねェ?

リーボック:いやいや、せっかくの学会発表、いい勝負をしてもらわないと白けちゃいますからね。われわれのテーマを教えてあげに来たわけです。

信一:ハンデってわけか?

ホーケン:そういうことだ。われわれは「関与マーケティング」で発表する。それでは、さらばだ。

王木:それでは、こちらのテーマを考える前に、先方のテーマ「関与マーケティング」を確認する必要がありそうですねェ、勝。

勝:ハッ。自前主義バイアスと保有効果がカギかと。

羌花:はぁはぁはぁ。い、IKEA効果だな。

信一:キョウカ、もう敵はいないから大丈夫だ。で、IKEA効果って、あのIKEA?

羌花:そうだ。IKEAの製品は基本的に、買った顧客が自分で組み立てる。その「働く」行為が付加価値となって、多少組み立てに失敗したとしても、顧客は実際以上にその製品を高く評価するわけだ。

信一:なるほど、自分で組み立てるという製品への「関与」が顧客の満足につながっているわけだ。製品も売れてまさにwin-win。

王木:まさに保有効果の良い例ですねェ。

羌花:婆に聞いた話では、米国で、焼くだけの手間要らずなホットケーキミックスを発売したところぜんぜん売れなったそうだ。そこに「卵を入れて混ぜる」一手間をあえて加えることで、逆に売れるようになったらしい。

信一:今度その婆さんにレクチャーして欲しいくらいだな。でも、顧客に関与させると売れるのはわかったけど、「関与マーケィテング」っていうのは、それだけなのか?

王木:信は、時々鋭いことを言いますねェ。関与して満足した顧客ほど企業にとっては格好の広告塔じゃないですかァ。

羌花:そうか、マーケティング3.0…。

信一:コトラーの提唱した、「価値主導のマーケティング」か。消費者と企業が協業して商品やブランドを作っていくという。

王木:それには、ニューウェーブの技術としてのSNSの発達やWebマーケティングの高度化が前提になってきます。さすがはリーボック、良いテーマに目を付けましたねェ。

信一:俺たちは、いったいどんなテーマにすれば良いんだ。あいつらに勝てるのか?

羌花:トーン、タンタン


というわけで、行動経済学×Webマーケティング、次回に続きます。
信一たちは果たしてリーボックやホーケンに勝てるのか?

緊迫の次号を待て。

【参考文献】
不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」 /ダン・アリエリー
9割の損は行動経済学でサケられる 非合理な行動を避け、幸福な人間に変わる /橋本 之克

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神奈川県出身。一橋大学社会学部卒。中小企業診断士。NTT、セガ等を経て現在ウフル・マーケティングクラウド本部に所属。勘だけに頼らず、定量的な根拠に基づくWebサイト運営を是とするPDCA-Webマーケター。その一方で星座の世界を好むロマンチストでもある。禁煙には成功したが、ダイエットは成功の糸口さえ見えない今日この頃である。
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