中国マーケティング情報(ウェブとかインバウンドとかをフワッと)その4-最終回-

中国マーケティング
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どうも、ぽちゃです。

さて、まずは前回の最後に述べた部分の再確認から。

【施策に落としこむ際に意識すべきこと】

・ソーシャルバイヤー/KOL*へのアプローチ
・クチコミの誘発
・クチコミの拡散

上記3点を意識して、実際の施策へと落とし込んでみようと思う。
*:ケー・オー・エル/Key Opinion Leader、中国市場におけるインフルエンサー

KOLの発見~最終的な施策への作り込み

それでは前述の3点それぞれに関してどのように進行していけばいいのだろうか。
具体的な例を取り上げて見てみよう。

【1】ソーシャルバイヤー/KOLへのアプローチ
KOLへのアプローチとさらっと書いているが、どうやってKOLを見つければ良いのだろうか。
微博(ウェイボ)のアカウント数は2015年で約5.6億、DAUは約9300万となっている。そんな膨大なアカウント数の中からどうやってKOLを探し出すのか。そこで便利なツールがある。
ウフルで取り扱っているソーシャルリスニングツール「Radian6」だ。

現在、世の中には多くのソーシャルリスニングのツールがあるが、標準で中国語に対応できたり、微博のデータまで取り扱えるツールは多くない。Radian6は242の地域、26言語に対応している。やや手前味噌になるが、今回はこのRadian6を使ってKOLを探し出してみる。

テーマとしては昨年から税制の改定により免税対象となった医薬品を取り上げよう。
このカテゴリには訪日中国人の中でも「神薬」と呼ばれる12の商品が存在している。
(中国 + 神薬 で検索するとすぐに出てくるので、気になる人は調べてみるといい。)

では、これらの商品のクチコミを広げた発生源や、強力な拡散元となるKOLは誰なのかをRadian6を使って調査してみよう。

まずはRadian6で「新薬(中国語だと神药)」をキーワードとして設定し、直近90日間の話題量を見てみる。
TA
(c) Radian6 by salesforce.com 以下同様

微博(Radian6ではSINA 微博とTencent 微博に対応)全体で約6200件ほどの話題量があるようだ。
一時期の勢いからすると少し落ち着いているようである。
これはついでだが、時系列でこのキーワードの話題量の動きも見てみよう。
TT

さて、最初に出してみたキーワードを含む話題の全体量からRiver of Newsという機能で個別の投稿を閲覧してみる。
RoN
ここから一気にこの個別投稿データを全件DLして、影響力の大きなユーザを見つけていく。
ちょっとしたコツが必要だが、コツさえ掴んでしまえばどのアカウントが影響力(発言力)を持っているかの傾向を絞り込める。

KOLを絞り込むことができたら、後はアプローチして自社商品を取り上げてもらおう。
ちなみに、多くのKOLは自分たちが持つ信用(フォロワー/ファン)がお金になることを理解している。
そのためお金を払ってもらったからといって適当なヨイショした記事は書かないと言われている。彼らのフォロワー/ファンからの信用を失うことは損であると認識しているのだ。

とは言え、よほど商品がダメなものでなければこき下ろすようなこともしない。ある程度はこちらから「○○の切り口から書いて欲しい」というような要望は聞いてくれるし、その切り口できちんと評価できる点があれば評価をしてくれる。

この交渉は非常にセンシティブである。できれば、このような仕掛けを多く手がけている代理店などに任せるほうが懸命だ。それも現地法人を持つ代理店に現地でコントロールしてもらうのが私の経験上は一番効率的である。(中国にHQのある日本法人と一緒に実施するのがベストと思われる。)

【2】クチコミの誘発/拡散
この2つについては、キャンペーンという形態を取るのが分かりやすいだろう。
日本でもよく見られるキャンペーンだと思うが、「●人に転送したらキャンペーンに応募」とか「いいねをして応募」とか「口コミを書いて応募」などといったタイプである。
現在、FacebookやTwitterではこのようなキャンペーン利用が色々と制限されてしまっているが微博には公式にこのようなキャンペーンを展開して管理する機能が存在している。(認証済みの公式アカウントであることが前提となる。)

こういったキャンペーンはインセンティブ次第ではあるものの、比較的参加者は集めやすいようだ。
本稿前段で書いた「信用」というものとは別で、参加すると「得」というよりも、感覚的にはリスクが無いなら参加しないと「損」という考えらしい。
とは言えクチコミを書かせるというハードルはやはり高い。なので、まずは何にせよ多くのリーチを取るというところを主眼にしている(と思われる)キャンペーンが多く見受けられる。

個別の実施方法としては、以上のような形が良いだろうと思われる。
ただ、これだとバラバラの施策となってしまうので、これらを包括して全体的な流れとしては以下のようにするのが良いだろう。


・キャンペーン(クチコミ促進など)を企画する
・KOLを洗い出す
・KOLに商品のレビューとともにキャンペーンの紹介をしてもらう
・上記によってKOLのフォロワーにキャンペーンと商品が告知される
・リーチしたキャンペーンによりクチコミが促進される


これを1セットとして展開することで、商品のリーチ、クチコミの促進がなされ、それにより訪日中国人の買い物リストへと商品を入れて貰もらう機会を多く作り出す、というのが効率的な施策となる。

もちろん、それぞれ個別には独特のノウハウなども必要であるので、単純に上記を展開するだけでうまくいくとは限らない。キャンペーンの内容や実施時期、キャンペーンのインセンティブの設定、KOLの選定方法、KOLへの依頼方法など、様々なポイントでノウハウが必要となる。

また、微博や微信(ウェイシン)の認証済み公式アカウントの取得なども、簡単ではない(申請書類などももちろん全て中国語であり、様々なハードルがある)。しかしながら、公式アカウントでないとできないことや使えない機能が多くある。(微博の広告出稿なども公式アカウントが必要など。)

このあたりのノウハウや公式アカウント取得などの詳細、KOLの洗い出し方や、その他中国向けマーケティングについてご質問があるようであれば、個別にご相談いただきながら対応していきたいと思う。

他、要望があれば中国国内でのオンライン決済事情や越境ECなども今後解説していこうと思う。

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ぽちゃ

静岡県出身。既婚。38歳。職務としてはマーケティング企画営業、WEB制作・開発などを実務からマネジメントまで浅く広~く経験。 信条は「恋愛はマーケティング」。テストマーケしまくったら痛い目を見たので封印。が、気を抜くとすぐ封印が解けて反省の繰り返し。 女性からよく頂戴する褒め言葉は「ヘンタイ」。趣味は猫を愛でること。
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