商品開発の前に知っておきたい!CanCam2月号を昆虫好きの男性が買う理由

マイク齋藤
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初めまして。私は株式会社ウフルでマーケティングリサーチ周りのコンサルティングプロジェクトを担当しております、マイク齋藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

商品企画・マーケティングをご担当されている読者の方々の中には、製品開発時はグループインタビューやアンケート調査を駆使した綿密なマーケティングリサーチに基づいて開発したものの、結局その製品がどう使われているか、改善点は何か、お悩みの方が多いのではないでしょうか。

想定外のセグメントにヒットする商品は、意外と多い

企業が商品企画・マーケティングを行う際、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)を検討したうえで、マーケティング・コンセプトを作成するのは、マーケティングを語る上での基本です。
しかしそうして世に出された商品が、予想外に別のセグメントで別の使われ方をしてヒットする、という事例が案外あることは、皆様も実感されている方が多いのではないでしょうか。

CanCam自撮りライトが昆虫好きにヒットしている

CanCamは小学館が発行する言わずと知れた、10代後半~20代女性から高い支持を誇る女性ファッション誌です。購読者の平均年齢は23歳、そのうちOL・会社員が46.2%、大学生・専門学校生が45.1%、発行部数は月間約14万部にのぼります。

(参考:CanCam媒体資料http://adpocket.shogakukan.co.jp/adp/getpdf?pdfID=5029, 2017年1月12日取得。)

男性の皆さまもCanCamの名前を知ってはいるものの、女性向けファッション誌というカテゴライズなので、購入した経験はない方が大半ではないでしょうか。

しかしながら、CanCam2月号が一部の男性に大ヒットしている、という話はトレンドに敏感な方の多くはご存知かと思います。

Twitterの口コミで人気が爆発

CanCam2月号には、「スマホで写真をきれいに撮る方法」の特集が組まれており、自撮り用のライトが本誌の付録として付いています。

本来は自撮り用のこのライトが、明るく高性能で、価格も安いとのことで、スマートフォンで自分の趣味の写真を撮る人たちの間で発売後大きな話題になりました

参考ツイート集:https://togetter.com/li/1065310

実際、SNS上の話題量を確認してみると、雑誌の発売日から数日遅れで、大きな話題の山が形成されていることが分かります(図1)。

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図1:”CanCam”に関する話題量
※集計期間:2016/12/1~12/31、分析対象:Twitter, Facebook, Blog, 掲示板など
(ソーシャルリスニングツール・Social Studio(Radia6)にて取得。)

話題の中身を見てみると、発売前、モデルの名前や「可愛い」など、女性誌らしいキーワードであふれていた12/1~12/22と、発売後の12/23~12/31で大きく話題の内容が変化していることが分かります(図2, 図3)。

図2_1201-1222

図2:”CanCam”と共起される頻出ワード
※集計期間:2016/12/1~12/22

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図3:”CanCam”と共起される頻出ワード
※集計期間:2016/12/23~12/31

また、大きな話題の山を形成している12/26~12/28の間で、人形好きな人やイラストを書く人、鉱物好き、そして虫好きや万年筆好きな人へ、話題が広がっていっている様がよくわかります(図4, 図5, 図6)。

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図4:”CanCam”と共起される頻出ワード
※集計期間:2016/12/26

図5_1227

図5:”CanCam”と共起される頻出ワード
※集計期間:2016/12/27

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図6:”CanCam”と共起される頻出ワード
※集計期間:2016/12/28

共起ネットワーク*を描いてみても、「可愛い」「特集」といった雑誌本来のキーワードの他に、コンビニでCanCam2月号を買うときの店員の対応について心配する内容や、昆虫クラスタの男性に売れているという内容、カメラ好きが喜んでいる様子などが見受けられます。
* : 対象のキーワードと一緒に用いられることが多い頻出単語(共起関係にある単語)を抽出し、単語同士の関係性を図で表したもの。

クラスタ

図7:上記投稿データをもとにKH-Corderにて作成した共起ネットワーク
※対象期間:2016/12/23~12/31

まとめ:ソーシャルリスニングを活用して、「新たな発見」を

冒頭でもお話したとおり、こういった形で本来のターゲットとは異なるセグメントに、意図せざる使い方でヒットした商品は他にも数多くあり、SNSやレビューサイト等で拡散されることにより急速に広まることがあります。
以下の2つの事例でも、本来の使用目的とは全く違う用途で多くのユーザーに喜ばれていることが、Amazonのレビュー欄からよくわかります。

例えばNintendo DSのゲーム「バトル&ゲット ポケモンタイピングDS」は、本来子供にタイピングを覚えてもらうためのゲームソフトでしたが、付属のBluetoothキーボードの出来が良く、Bluetoothキーボード自体を欲しがる人たちに人気となりました。

また山善の食器乾燥機は、模型製作を趣味とする人たちがプラモデルの塗装を乾かすための乾燥ブースとして評判になっています。

当ブログにて頻繁にご紹介している、SNS上の投稿を分析するソーシャルリスニングは、今までのアンケート調査やグループインタビューとは違い、不特定多数の口コミに耳を傾ける分析手法です。

この手法では回答者に分析されている意識がないため、定性的な本音や実際のシチュエーションにおける投稿を収集できます。そのため恣意的な意見となりにくい傾向にあり、仮説を超えた新発見を得ることができます(CanCamの担当者の方は、おそらく今回の付録が昆虫好きの男性に大ヒットするとは、考えもしなかったと思います)。

読者の皆様が担当されている商品やサービスにおいても、想定した使われ方とは違う「意外な需要」をソーシャルリスニングで発掘し、用途やターゲットを変えてしまうことによって、新たなヒットを生み出せる可能性が眠っているかもしれません。

ご興味のある方は是非お気軽にご相談ください。

(ちなみに私もこの度、生まれて初めてCanCamを購入し、自撮りにチャレンジしてみました。齢33にして初めて、CanCamの公式アカウントから”like”がついたのは、私にとって嬉しくもあり、衝撃的な体験でした)。

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マイク齋藤

マイク齋藤

大阪府出身。京都大学大学院経済学研究科修了(専攻:消費者行動論)。メーカーにて勤務後(営業・マーケティング)、ウフル・マーケティングインテリジェンス本部所属。長岡技術科学大学大学院講師(非常勤)。 「ヨリミチスト」を自称しつつ、面白そうな事を見つけては、直観的に手を出しては挫折したり、そこそこ続いたりしている。最近の趣味はウクレレ(講師経験あり)、銭湯めぐり、近距離ツーリング、離島散策(八重山諸島・特に波照間島/鳩間島と奄美大島がお気に入り)。今年は時間を見つけて、ダイビングのライセンスを取ろうと画策中。
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