今改めて脚光を浴びるコンテンツマーケティング
昨今、改めてコンテンツマーケティングが脚光を浴びています。
一方でその言葉の定義は曖昧であり、従来コンテンツマーケティングが有していた側面に加え、コンテンツに重きを置かずに単純なSEO効果を求めるもの、リードナーチャリングの観点をより近い距離に引っ張って来て捉え直したもの、LPO的な意味合いで展開したものなど、デジタルマーケティングの様々な手法の概念を混在一体とさせて捉えてしまっているケースが目立ちます。
これらの要素・効果は、一定割合において、従来コンテンツマーケティングに含有されていたものです。ユーザー価値の高いコンテンツはSEO効果を高めますし、新たなユーザー拡大に効きます。そこで興味喚起できれば、問合せや資料請求などへの導線を強化できます。ですが、これらの要素に引っ張られてしまっては、コンテンツマーケティングが本来持っている価値が損なわれ兼ねません。
コンテンツマーケティングの価値
ではコンテンツマーケティングの持つ価値とは何なのか?
その前提としての目的は、「自前のメディア(オウンドメディア)により、収益に繋がる顧客の行動を促進すること」にあります。ここだけ切り取ると、非常にLPO的です。ですが、LPOが即時的効果を最優先に据えて設計・運用するものであることに対して、コンテンツマーケティングにおいて重要視されるのは、ユーザーとの接点の持続であり、エンゲージメントの強化となります。
良質なコンテンツはユーザーの滞在時間を長めて、再訪を促します。これがブランディングへと繋がり、結果として購入など通常数%しかないユーザーアクションを数倍に伸ばすのです。
また、SEO目的だけで形成されるコンテンツとの差異も同様です。SEOにのみ主眼を置いたコンテンツ生成においては、検索ボリュームや関連キーワード密度、全体ボリュームなどを優先するあまり質へのウェイトが下がり、一時的な接点は形成できても、継続的な繋がりに結びつかないというケースが見受けられます。小手先のテクニックだけで人を集めても、その人をファンとして定着させることは難しく、一過性のコンテンツで終わってしまいます。これではコンテンツマーケティングが本来果たすべき役割を担うことができません。
コンテンツマーケティングに求められるのはユーザーとの対話力であり、テクニカルな要素だけで賄いがちなマーケティングとは一線を画すところがあります。その複合的な効果故に再び脚光を浴びてはいますが、その実はこれまでのデジタルマーケティング業界のお作法に一石を投じるような存在とも言えます。ユーザーとの間にコミュニケーションが発生したとき、そこには新たな関係を構築するチャンスが生まれ、エンゲージメントを高めることが可能となります。こういった機会の創出こそがコンテンツマーケティングの本質的な価値であり、中長期的なマーケティングを有利に進めるに当たって効果を生む重要なファクターなのです。
本稿読者と向き合うと考えた際に、「何を偉そうに」「もっと核心に触れた情報をくれ」といった声が想定されるが、今暫くの我慢をお願いしたい。というのも、間違った意識のまま「それらしいプロセス」を進んでも、行き着く先は行き止まりというケースが見受けられるからだ。次稿では本稿でも触れた関連施策との混同が生んだ功と罪についてもう少し深堀した上で、コンテンツマーケティングを成功に導く手法について語りたいと思う。
タナカさん
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