SEO主眼のコンテンツマーケティングの罪

SOMEWHAT ABOUT CONTENTS MARKETING VOL.2
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SEO施策の困窮が呼び起こしたコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングが改めて話題に上がるようになった背景には、Googleが行ってきたパンダとペンギンと呼ばれる検索ロジックアップデートの存在があります。
日本で2012年7月に導入されたパンダアップデートの狙いは、クオリティの低いコンテンツの排除。自動生成によるワードサラダはもちろんのこと、他サイトと重複の多いもの、無用な繰り返しで構成されたものなど、内容が薄く独自性・専門性に欠けるコンテンツの評価を下げ、検索価値を担保することにありました。
続くペンギンアップデートは2014年まで複数回に渡って展開され、特にペイドリンク(購入されたリンク)に代表される作為的なリンク構築へのペナルティを重点的に強化したものになります。
google seo updates
これらのアップデートでなぜコンテンツマーケティングが話題に上がってくるかというと、SEOサービス業者にとっての商売の柱であった外部SEOが急激に効果を失い、それこそ麻薬のように、対価を払い続けることで検索順位を維持するというビジネスが成り立たなくなる一方で、そこで保有していたリソースを活かして展開できる領域≒コンテンツマーケティングだったからです。

活かされるSEOサービス業者の技術とリソース

今でこそ禁じ手であるペイドリンクですが、それは間違いなくSEOビジネスの中心にあった存在です。ではなぜSEOサービス業者がそれほどのリンク元を確保できていたかというと、彼らの多くが、数多くのWebサイトを生産者として構築していたからです。
そういったビジネスが隆盛を極めた当時、SEOサービス業者の質を見抜く一つの指標に、アフィリエイトでの成功経験のアリナシがありました。SEOは得てしてターゲットとするビッグワードの検索順位を上げることにばかり注目されがちですが、それだけではマスの視界にただ入るのみで終わってしまいます。ですが、優秀なアフィリエイターは、視界に入った後にサイトへと誘導し、さらに資料請求や購入といったアクションに繋げることまでを考えます。これを実現するには、検索結果に表示されるタイトルやサマリー(スニペット)を魅力的なものにし、ページ自体も動機形成力の高いものにする必要が出てきます。それは正に、LPOにおいて求められる技能です。
affiliators and SEO
さて、ここまで話を進めて既にお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、優秀なSEOサービス業者というのは、効果的なコンテンツ作りのノウハウも持ち合わせています。リンク売買のビジネスは危機に直面しているが、コンテンツ作りのノウハウもリソースもある。そのような状況だからこそ、コンテンツマーケティングが脚光を浴びることになったのです。

SEO主眼のコンテンツマーケティングの罪

このようにして再び生を受ける形となった現代のコンテンツマーケティングですが、そこにはいくつかの落とし穴があります。まず分かり易いところでいうと、業者によってクオリティがマチマチであること。中でもあくまでもSEOのため、とした割り切りの元作られたコンテンツはその存在を検索エンジンのためだけに捧げたようなものであり、それ以上の価値を見いだすことが困難な場合さえあります。
また、一定のノウハウを有したサービス業者のものでも、量産することを前提に作られたもの、つまり、あくまでも消費物として作られたコンテンツは、ライターのコストを買い叩き、結果としてライターの品位を貶める悪循環を生んでいるという現実もあります。

もちろん全てがこういった悪い方向に向いているわけではなく、中には高品位のライターを用い、しっかりとした対価を支払って作られているものもあります。ですが、ここで忘れてはならないのは、LPO的なノウハウで得られるユーザーというのは、どちらかというと刹那的な存在であり、コンテンツマーケティングが本来標榜している筈の、ユーザーとのエンゲージメントを高めコミュニケーションの場を創出するという恒常的な効果が得られる内容ではないということです。

コンテンツマーケティングは常設型のマーケティング施策であり、時勢の変化に効果を左右されがちなLPO的アプローチよりも、エンゲージメントを高めるというその手法ならではの本分こそ求められるべきなのです。

コンテンツマーケティングの今と、その背景については本稿に記した通り。実際に、広告や雑誌のコピーライティングを担当するコピーライターの方々から、SEO型コンテンツマーケティングの影響で単価設定の難しさを感じるという声を聞く機会も増えている。だが、彼らの持っている技術は格別なものであり、決して買い叩いて良い存在ではないことをここに記したい。
そんな個人的な意見はさておき、次稿ではいよいよ、コンテンツマーケティングを成功に導くための手法について語りたいと思う。

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タナカさん

兵庫県出身。2003年東京外国語大学大学院修了(学術修士)。ウフル・マーケティングインテリジェンス本部(旧マーケティングクラウド本部)のたぶんちょっとエライ人(弊社CSOの田中正道とは別人)。 データドリブンなマーケティングに関して、その仕組みの設計からクリエイティブまで経験。趣味はバルトやデュルーズといった現代思想の研究から草の根音楽活動までと多岐に渡る。要するにオタク。
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