歳末のクリスマス商戦も大詰めを迎えて、最後の書き入れ時ということで広告に躍起になっている方も多いのではないだろうか。今日は、そんなラストチャンスを有効にすべく、今すぐテコ入れに使える情報をお届けさせていただく。
広告で重要なキャッチコピー
さて、前回人の目線が「顔」を優先的に認識するというクリエイティブに関する情報をお届けしたが、今回の情報はそれと対になっているものだ。
視覚的クリエイティブで人の視線誘導に成功したとして、その先にある情報を認識してもらえなければ意味がない。もっというと、そこで人の心を動かし、販売目的であれば購買促進できなければただ視野に収めてもらっただけで終わってしまう。
キャッチコピーはそういった情報の先頭に来るものであり、この出来次第で続きを読んでもらえるかどうか、場合によってはそのまま次のアクションに移ってもらえるかに影響する非常に重要な要素だ。
今回は特に歳末の残り少ない日程で使える情報と最初にお伝えしたので、より直接的な手法ということで話させていただくと、以下のような訴求ポイントが含まれるかどうかが重要となる。
・ 理性訴求 (rational)
・ 情緒訴求 (emotional)
・ 価格訴求 (price)
これらは単体で使うよりも、組み合わせることでより効果が高くなる。
例えば、理性的な賢さと価格的魅力を組み合わせ、更に感情的煽りを加えるというのは常套手段だ。
ただ「安い」と宣伝する、「1980円!」と値段を見せるだけでは効果はその比較対象を知っている人に限られてしまう。これを、「【期間限定】市場価格から3割引!1980円で買えるのは今だけ!」とすることで、普段よりもどれだけ経済的か、金額それ自体のインパクトを認知いただいた上で、今すぐアクションを取らなければ損をするという認識を持たせることができるわけだ。
顧客目線で考える
金額や限定感というわかりやすい魅力も、競合との比較での優位性があって初めて機能する。そういった意味では、価格競争でこれ以上勝負しても意味がないという状況もあるだろう。
そんな時、得てして機能訴求に走りがちだ。ここに短期的効果に対する落とし穴がある点、覚えておきたい。
機能訴求を行う際、「○●配合」「オールインワン」といった企業目線の言葉を入れてしまいがちだが、これらは未知の顧客からすると、何の価値があるものなのか、自分にとって意味があるものなのか見えなくなってしまうケースがある。
例えば美容系の広告であれば、「希少な○●成分配合」と訴求するよりも、「-10歳肌!抜群のアンチエイジング効果」といった具体的な効果を訴求したほうが伝わりやすい。つまり、広告を見る側の立場でのベネフィットが何なのかを示すことが重要ということだ。
キャッチコピーとは少し異なるが、似た事例として有名なものに、店頭ワゴンでインスタントカメラを販売した際の例がある。「安い」「驚くほどキレイ」といった商品キャッチをポップとしてつけても全然売れなかったものが、「ちゃんと撮れる!」というポップに変えたところ勢いよく売れたという逸話だ。
これは、安いのは見ればわかる、キレイかどうかはこだわらない、寧ろワゴンに並んでいて品質が悪いのではないかという懸念が売れ行きを悪くしているのではないかという仮説のもと、顧客目線でその不安を解消するための言葉を付記することにより、成功したという事例だ。
時にイメージキャッチも必要
ここまでの話はすぐに結果を出すためのテクニカルな話だ。
つまり、CTRやCTAといった広告の成果を向上させるためにすぐできることである。
一方で、世の中にあるキャッチコピーはより抽象的で、何を伝えたいのかわからないものも多い。すぐに何かのアクションにつながるわけではないが、心に残るキャッチコピーというものも多数存在する。
同じキャッチコピーでもこういったものはブランディングに用いるものであり、成果重視のものとは分けて考える必要がある旨、心にとめておいていただきたい。
近代思想にテクスト論という学問があるが、そこでも「テクストには遊びの場」が必要とされる。言葉に即物的な価値だけではなく、しっかりと行間を持たせることで、人に考えてもらい、発展させることの重要性を捉えた論文である。
…どこかでこういった、テクニカルではない深い話ももっとしたいと思うが、今日のところは歳末セールに役立つ話ということで、割愛させていただこうと思う。
タナカさん
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