中国マーケティング情報(ウェブとかインバウンドとかをフワッと)その2

中国マーケティング
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どうも、ココのところ右肩上がり(Weightが)のぽちゃです。

前回は中国経済の基本情報、中国人の理解、中国インターネットの特殊な環境についてお話した。
今回はそれらを踏まえ、実際のマーケティング手法などについてざっと紹介し(あくまで「ざっと」)、その後の爆買い対策に必要な箇所にフォーカスしていきたいと思う。

中国インターネットにおける消費者とのタッチポイント

中国インターネットの独自性は前回の記事で書いた通りだが、そもそもインターネットというインフラ自体はどのくらい普及しているのだろうか?
その普及率は約50%というデータが出ている(※1)。(ちなみに日本のインターネット普及率は約80%。)つまり中国全人口の約半数はインターネットを使える状態にあると言っていいだろう。
また、中国の約14億人の人口のうち都市部に生活する人も約半数と言われている(※2)。中国では地域によるデジタルディバイドが日本よりもはるかに激しく、地方の実家に帰省するとまったくネットワーク環境(モバイル含め)がないため、帰省期間中は連絡が一切つかなくなるということは珍しくないようだ。
つまり、中国の都市部に住むほとんどの人がインターネットに接触可能な状況にあると考えていいと思われる。
購買力も同様に地域差が激しく、都市部と地方では圧倒的に都市部の購買力が高い(※3)
これらの状況から、


「マーケティング対象(購買力が一定レベル以上)」≒「都市部に生活する消費者」≒「インターネットで接触可能」


と考えて問題ないだろう。
※1:出展 Digital, Social & Mobile in APAC in 2015(We Are Social)
※2:都市部の人口比率に関しては中国の国家統計局の発表を参照(都市部の定義に関しても中国の国家統計局に従う)
  いわゆる上海市のような大都市だけではなく、10~20万人の規模の都市までをイメージしてもらえば大きな乖離はないだろう。
  ちなみに上海市は1千万人都市である。(参考 東京都:1.3千万人、神奈川県:0.9千万人)

※3:直近の公開可能なデータが手元にないが、2009年の時点で農村部と都市部での消費水準は約4倍の格差がある。

なお、中国(特に都市部)の消費者が世の中にある製品、サービスの情報と接触するチャネルは実は日本とあまり変わらない。つまり、TVや雑誌、OOH(交通広告)、インターネットなどである。
ただしその割合や内容が日本とは異なっている。
特にインターネットと親和性の高い若年層(10~20代)では顕著であり、日本の同年代のメディア接触率の割合はTVとインターネットが拮抗しているのに対し、中国ではインターネットのほうが明らかにTVよりも接触時間が長いというデータが出ている(※4)
また、中国では日本よりもインターネット動画をよく見ると言われており、これも中国インターネット事情の中でやや特殊な傾向だと思われる。ご存知の通り、合法・違法問わず国内外の色々な動画コンテンツがオンライン上に豊富に存在する。若年層はTVよりも、気軽に視聴できるオンライン上のコンテンツを好んで視聴しているようだ。(時間的制約が無いという点や、TVではあまり見られない海外コンテンツが見られることなどが利点。)
※4:出展 解剖中国市場 Vol.3「80后」と「90后」~学歴・所得・メディア接触「中国の若者」7年の差~(CTR市場研究)

こういった状況を考えると、中国の消費者とのタッチポイントとしてインターネットが非常に重要であることがおわかりいただけると思う。

逆説的であるが、遠隔地であるが故にインターネットで中国消費者へとアプローチしていることが、結果として非常に効果的なチャネルでのコンタクトとなっていたのである。そのため成果を上げている企業も多く生まれ、競争も激しくなっていると言えるだろう。

中国インターネットにおけるマーケティング活動

ここからは中国独自のインターネットサービスを利用したマーケティング施策を紹介していこうと思う。
とは言っても、前回説明した通り中国独自のサービスとは言え類似のインターネットサービスが存在しているのでさほど特殊なことはない。なので、まずは簡単に各施策を羅列してみる。

img3

ざっとこんなところだろうか。そう、日本でもお馴染みの極普通の施策である。
見ての通り、施策の殆どは「広告」であり、その名前から内容が想像できないものは無いだろう。中国のサイトを見てもらうとわかると思うが、中国のインターネット上にはとにかく広告が多い。人口も多く、会社も商品も多い中国では、インターネット上でも競合が非常に多いのである。
さらに元々の競合の多さに加え、海外からの進出が多くあるということも拍車を掛けている。

なお、おそらくであるが、現在の日本の一般的なインターネットユーザーが中国の各種サイトを閲覧すると、その広告の多さに辟易するだろう。
途中でサイトの閲覧をやめてしまうのではないだろうか。少なくとも筆者は仕事でなければさっさと離脱するサイトばかりである。(最近はこれでも広告が減っているらしい。)

「慣れ」ということもあると思われるが、彼らはこれだけ広告がサイト内に鬱陶しいほどに存在していたとしてもあまり気にならないようである。
それは前回の国民性で触れたところに関連していると筆者は推測している。つまり、その商品を買って欲しいんだからガンガン露出するのは「当たり前」であり、おそらくサイト訪問者側もベースとなるその意図が理解できるので自分に関係なければ単純に「気にしない」というだけのことなのだろう。
これは、ある意味究極の自分勝手同士とも言える関係が創り出した合理的な形なのかもしれないとも思えてくる。

ということで、商品的な意味での競合も多く、広告枠の確保という意味での競合も多い中国においては、日本の感覚では「やりすぎかな?」と思うほどの出稿量を投じても構わないどころか、むしろそのくらい広告を投下しないとなかなかリーチ(単純なリーチではなく、希望するターゲットへのリーチという意味で)することが難しいというのが筆者の見解である。
(少し補足すると、単純なimpは稼げるし、単純なCTRも悪くなかったりする。だが彼らは広告をクリックすることをあまり気にしないようで、無駄クリックは非常に多く発生すると考えて良い。こういった無駄クリックをかいくぐって、本当のターゲットへリーチするというのが日本と比較して難しいということである。)
もちろん、きちんと媒体のデータからターゲットを見極めることも重要だが、日本国内と比較にならないほどのネットユーザーが存在し、そのユーザーの趣味嗜好も多種多様であることを考えると、事前の詳細なターゲティングは難易度が非常に高い。
筆者の経験からすると、事前の詳細なターゲティングに時間をかけるよりも、まずはできるだけ広く面をとって反応を見ながらチューニングするのが効率的と考える。

と、中国インターネットにおける広告出稿の解説に入るかのような話の流れになったが、広告の話はこの程度に留めることとする。

広告の話を含め伝えたかったのは、とにかく当たり前ではあるが「リーチを増やす」ということは非常に大事なポイントであるということと、中国のインターネットにおいてそのリーチを増やすことは競合も多さも含め非常に難しいということだ(もちろん資金が潤沢にあるのであればお金をかければ良いのだが)。

そして「リーチを増やす」ということと同じく、いやそれ以上に重要なのが実は「SNS活用」である。
これは最終的にはリーチを増やすこと、しかも効果的にリーチすることへと繋がるのである。

もう少しで「爆買い」への具体的な対策例の紹介にたどり着くが、今回はここまで。
次回はSNS活用方法と、爆買いの流れ、そして対策例(まで書けたら良いな)を予定している。

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ぽちゃ

静岡県出身。既婚。38歳。職務としてはマーケティング企画営業、WEB制作・開発などを実務からマネジメントまで浅く広~く経験。 信条は「恋愛はマーケティング」。テストマーケしまくったら痛い目を見たので封印。が、気を抜くとすぐ封印が解けて反省の繰り返し。 女性からよく頂戴する褒め言葉は「ヘンタイ」。趣味は猫を愛でること。
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