企画書やレポートで押さえておきたいポイント

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このブログも随分と記事が貯まってきているわけだが、読者の皆様がここの情報を活用するに当たっては、ただそのままノウハウとして転用するだけではなく、それを上手く上司や発注先のパートナー、受注元のクライアントに伝える必要性が出てくることだろう。
今回はそんな場面で押さえておきたいポイントについて、マーケティングのフレームワークに沿って少し書かせていただく。

重要なフレームワークとなる「CTPT」

ノウハウやデータ、アイデアにばかり目を向けていて意外と忘れられがちになる本来の目的を示すのが、「CTPT」と呼ばれるフレームワークだ。これはそれぞれ、Concept、Target、Process、Toolの頭文字となっており、これらを整理することで企画書としてのまとまりが出てくる。
一見当たり前の内容に聞こえるかもしれないが、実際こういったものが抜けている企画書というのは意外と多い。

先ず整理すべき、コンセプトとターゲット

抜け落ちるケースとしては、コンセプトかターゲットの一方が曖昧になっている場合というのが非常に多い。立派なコンセプトで秀逸な技術やアイデアがあるにも関わらず、それが誰向けのものなのかがわからない。あるいは、ターゲットは明確なはずなのに、その人に向けたベネフィットになり切れていない。
需要と供給の関係がアンマッチであるケースが多々存在するというのが実情だ。

なぜか。
事業者側にありがちなのが、技術やアイデアにばかり着目して、顧客を見ていないというケース。つまり、「こんなにスゴイのだから皆、興味を示すだろう」といった発想。多くの場合、「スゴイ」ことには間違いはないのだが、そのスゴさに顧客が気付く設計がされておらず伝わらない、あるいは等身大の顧客にとって必要ないスゴさである場合が存在する。

ターゲットを絞り切れていないというのも不整合が起きる大きな要因だ。
漠然とマスに向けて技術やアイデアを投げても、自分事化されず、興味を示してもらうことは難しい。興味を抱いてもらう上で重要なのは、商品それ自体ではなく、それでどのような体験を得られるのか、享受できるベネフィットが何なのかであり、この整合性を調整するには、ターゲット像がある程度明確になっていることが重要となる。

例えば、「風で飛ばないシート」という商品があったとして、「15m/sの風でもびくともしません」とスゴさを強調しても、「風で飛ばないシートを探していた顧客」には響くかもしれないが、そういったことが頭になかった顧客には用途が分からず、なかなか興味を示してくれない。
しかしながらここで「GWにピクニックに行く際に便利。風で飛ばないから場所取りも楽々、シートの上に置いたお弁当が巻き込まれて台無しという心配もいりません!」といった形の形容がつくと話が違ってくる。ここにおいてターゲットが「(GWに)ピクニックに行く人」「場所取りを行う人」「お弁当を台無しにされた人」といった具体的なイメージを伴って展開されたことにより、対象とするセグメントは狭められている筈なのだが、利用シーンをイメージできた人の数は増えるという現象が起きる。
機能性が持つメリットは汎用的でより多くの可能性を秘めるが、そこに何かしらのストーリーがなくては個人の体験に結び付けられにくく、個人の体験に即したベネフィットとして伝えることではじめて自分事化させることが可能なわけだ。

このように、ある意味において、コンセプトとターゲットの一致というのはコピーワークの違い一つで変わってくる点とも言える。基本のコンセプト自体は機能に準ずるものであるにせよ、それをターゲットに向けて伝わる形に少し変えるだけで、そのズレは解消することができるのだ。

顧客との関係性をつくるためのプロセスとツール

コンセプトとターゲットの一致が取れたなら考えなくてはならないのが、より具体的な顧客接点の作り方だ。CTPTにおけるプロセスとは、どのような段取りで顧客との接点を作るかというその工程の設計を指す。そして、ツールはそのための手段だ。
完璧なコンセプトで、ターゲットが明確であっても、顧客の心理状態に合わせて情報を展開しなくてはなかなか実際の購買には結びつかない。具体的にはAIDMAに合わせた内容とツールを活用していくことが求められる。

フルパッケージで展開できるなら、以下の図のようなツールが各ステータスに一致しやすい。
AIDMAと対応ツール例
とはいえ、こういったツールを全て用いることができるケースというのはレアだ。
そこで例えば、TVCMに代えてコンテンツマーケティングも用いる、メルマガに代えてSNSを活用するなど、個別の施策を再構築していくことで、企画としてまとまってくる。

レポート等でも同様

さて、タイトルにレポートと書いてあるのに企画書の話ばかりじゃないかとお思いの方もいるかもしれない。しかし、この話はレポートにも応用できる話なのだ。
ありがちなレポートとして、ただ集計データをなぞっただけのものが存在する。
それは、何を目的に、何を語りたいのかわからない、ただの現状分析でしかない。
しかしながら、これに目的を結び付け、そこからどのようなプロセスが導き出せるかといった示唆を盛り込むことで、もう一段階上の情報を展開することが可能となる。

例えばただのアンケート集計であっても、どのような人向けの、どのような内容のものかを冒頭にまとめ、それとの関係性においてどのような回答傾向が表れたのかを整理するだけで、情報の読み取り方は随分と違ってくる。例えそこまでのレポーティングを求められていないとしても、それを頭に入れて考えながら集計するだけでも、ただの数字との睨めっこではない作業となり、おかしな点などに気付くことができ、集計ミスも防げたりする。

「自分に企画は関係ない」、「マーケティングとか知らない」といった方にも、是非試してほしい手法なのだ。

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タナカさん

兵庫県出身。2003年東京外国語大学大学院修了(学術修士)。ウフル・マーケティングインテリジェンス本部(旧マーケティングクラウド本部)のたぶんちょっとエライ人(弊社CSOの田中正道とは別人)。 データドリブンなマーケティングに関して、その仕組みの設計からクリエイティブまで経験。趣味はバルトやデュルーズといった現代思想の研究から草の根音楽活動までと多岐に渡る。要するにオタク。
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