今回は、巷で話題のデザイン思考について考えていきましょう。
おやおや、某メーカーのマーケティング部門で、Webサイト担当の二人が頭を抱えているようですよ…。
あーあ、画期的なWebマーケ施策を考えろなんて、そう簡単にできるわけないよー。
文句いってる暇があったら、アイディアの一つでも出しなさいっ!
まあまあ、怪しいものじゃありません。私は、マーケティングクラウドで世界を平和にする正義の味方、マクパンマンです。
怪しさ全開だけど、とりあえず何をしに来たか一応聞こうか。
君たちが、アイディア出しで行き詰っていたから、少し応援してあげようかと思ってね。
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「ゲームを変えられる」デザイン思考
さてはじめるよ。現在日本を始め、先進国では従来の延長線上の商品を作るような、1を2にする連続的なイノベーションでは、なかなか売れなくなってきているよね。
そこで、0から1を生み出すような非連続的な破壊的イノベーションが求められるわけだ。いわゆる「ゲームを変えられる」マーケティングが求められている。
確かに難しい。でも、デザイン思考を使えば、その糸口を見つけられるかも知れないよ。
最近よく目にするけど「デザイン思考」って、デザイナーの世界のことじゃないの?僕は絵心もないし、センスにも自信ないなー。
安心してください。絵心とかは要りませんよ。デザイン思考とは、
「イノベーションを生み出すために、卓越したデザイナーの思考法を活用すること」
なので、ビジュアル的なデザイン作成能力自体は特に関係ありません。
絵なら多少は自信があるけど、そんな思考法があるのかしら?
ウサ子さん、なかなか疑い深いですねー。ちゃんとご説明いたしますよ。
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イノベーションに不可欠な3要素
イノベーションに不可欠な要素として、以下の3つが必要とされています。
1.人間(Design)⇒人が持つ真のニーズは?(有用性)
2.技術(Engineering)⇒それは作れるのか?(技術的実現性)
3.ビジネス(Business)⇒それは儲かるのか?(経済的実現性、持続可能性)
でも、得てして2や3に偏りがちなのが実情です。デザイン思考は、1を重視した上で、2、3を検討していく手順なのです。
顧客ニーズが大事なんて、散々言い尽くされてきたことじゃない?なにも目新しいことはない気がするけど?
はい、実は目新しくはないかもしれません。ただし、どうやって顧客ニーズを把握するのでしょうか?
顧客にアンケートをとるとか、店頭でヒアリングするとかかな?
それも悪くはないですね。でも、真の顧客ニーズは顧客自身もよくわかっていないことが多いのです。
そこで、「デザイン思考」の登場となるわけです。ドラッカーの言う「顧客はいつも正しい」の意味もわかるでしょう。
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デザイン思考の手順:具体例
そろそろこの紐を解いていただけませんかね?人がせっかくお手伝いしてあげようって言うのに、この仕打ち…。
カバ夫くんがお茶入れている間にあなたと二人きりなんて、ありえないでしょ。で、次は何かしら?
デザイン思考の具体的な手順の例で、全体像をつかんでいただこうかと。
あるスーパーのある店舗で、顧客満足度の向上が課題となり、
「レジ待ちの混雑が顧客の不満につながっているのではないか?」を検証することになりました。
その際、以下の4つの手順で進めていきました。
手順1.現状を深く観察して「共感」する
⇒レジ待ちの混雑実態把握のためスタッフが客として並んでみる
⇒そのうちの一つ、「ちっ、向こうのレジがまた早いのかよ…」
手順2.収束思考で「正しい問題」を見つけ出す
⇒顧客の不満は「混雑」よりも「順番の不平等」なのではないか?
手順3.発散思考で「解決策」を大量に創造する
⇒現在ある10のレジを5つずつ2グループにわけ、グループごとに並んでみては?
手順4.実行案を決定し、失敗を前提に「アウトプット」を繰り返す
⇒誘導ポールや誘導サインを手作りしながら、整列方法のシミュレーションを繰り返す
⇒「ATM型レジ待ち」としてシステム化し他店舗へも展開

特にこの手順1でいかに多くの有用な情報を入手できるかがカギですね。その際、テキスト情報だけでなく、音声、動画、写真などのリッチなデータの収集が大事です。先ほどの例のように、やはり現場での顧客観察が有効な場合が多いです。
なるほど、僕たちみたいに、デスクでうんうん唸っていても、良いアイディアは浮かばないってことか。
そうです。左脳と右脳をバランスよく使って、収束思考と発散思考を繰り返すのです。
口で言うだけなら簡単だわ。でも、具体的にはどうやるのかしら?
<参考文献>
デザイン思考でゼロから1を作り出す(中野明)
21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由(佐宗邦威)
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神奈川県出身。一橋大学社会学部卒。中小企業診断士。NTT、セガ等を経て現在ウフル・マーケティングクラウド本部に所属。勘だけに頼らず、定量的な根拠に基づくWebサイト運営を是とするPDCA-Webマーケター。その一方で星座の世界を好むロマンチストでもある。禁煙には成功したが、ダイエットは成功の糸口さえ見えない今日この頃である。