すべてがつながるとき、その谷がどうなるか(IoTとキャズム)

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例えば Kindle

唐突ですが、あなたはKindleを持っていますか?

筆者は、3年前に Amazon の電子書籍デバイス「Kindle」を買いました。当時テレビCMでは「太陽のしたでも読める」「本に近い感覚で読める」とメッセージ発信されていましたが、実際それ以外のメリットのほうが大きく、3年経ったいまでも変わらず持ち歩いています。

  •  部屋が本でいっぱいにならない
  •  重たい本を持ち歩く必要がない
  •  複数の本を持ち歩くことができる
  •  満員電車でもページめくりが指一本
  •  自宅や外出先でも購入後すぐに読み始められる
    etc…

というように、実質的なメリットの多いサービス媒体だと個人的には感じているのですが、周りに持っている人がまだそんなに多いとは感じられません。電車内でも物理本(紙媒体)を読んでいる人はいてもKindleはあまり見かけない気がします。

スマホ・タブレットで読んでいるからかもしれませんし、そもそも本を読む人が減っているからという話もあるかと思いますが、Kindleという新デバイスが普及しないのはなぜでしょう。それは、ある「」のシワザかもしれません。

新商品・サービス普及の壁(キャズム)

筆者の所感ですが、Kindleという電子書籍専用デバイスは、スマホの普及と比べると、広く一般的に普及したとは言えない状況かと思います。

マーケティング用語でキャズムという言葉があります。新しい技術・サービスが広まるまでにはキャズムといわれる「谷」があり、それを越えないと広く消費者に普及しない、という理論です。

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イノベーター サービスのメリットに飛びつく層
アーリーアダプター サービスのメリットを理解しつつ、かつ、新しもの好きな層
アーリーマジョリティ サービスのメリットは理解しているが、サポートなどの付帯サービスがそろうのを待ってから買う層
レイトマジョリティ 周りが買っているから買う層
ラガード サービスが普及しきるまで自分からは買わない層

Kindleの例で言えば、メリットを理解した「アーリーアダプター」で止まっている状態と言えるのではないでしょうか。

実はキャズム、30年前に提唱された理論です。しかしその理論はまだまだ健在です。キャズムの理論で言えば「アーリーマジョリティ」までどうやって商品・サービスを行き渡らせるかがサービス開発者・マーケターの課題なわけですが、今後もその課題は残るのでしょうか?
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IoTがキャズムに与える影響

Kindleというデバイスが普及してないように見受けられる一方、電子書籍というサービス全体について言えば、以下の記事にもある通り一定数の利用者を獲得しているようです。

「電子書籍のキャズム超え」
http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35059325/2/

この違いはなんでしょうか。Kindleがデバイス普及のキャズムを越えるのに苦労している一方で、電子書籍サービス自体はスマホ・タブレットなどの既存デバイスがあれば利用可能です。この、新デバイス普及の壁がないことがキャズムを越えた一因であると考えられます。

ということは、新デバイス普及の壁がない(または少ない)ほうがサービスは普及しやすい、と言えるのではないでしょうか。また、リアルなサービスだけでは制約の多いことでも、インターネットにつながっていることでサービスの普及率をあげるのが易しくなることもあると言えるでしょう。

ここで、実現の兆しを見せている「IoT」という概念について触れさせてください。

IoTとは、すべてのモノ(デバイス)がインターネットにつながるという概念です。

モノのインターネットInternet of ThingsIoT)は、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる[1])、情報交換することにより相互に制御する仕組みである[2][3]。それによる社会の実現も指す[4]。「物のインターネット」と表記された例もある[5][6]

出典 : Wikipedia

また、モノだけではなく人や場所も含めたすべてがインターネットでつながる「IoE( Internet of Everything )」という概念もあります。

IoT、そしてIoEが実現されるとどうなるでしょうか?

IoTの対象には、洗濯機や冷蔵庫など、人々の生活において既に利用されている「モノ」も含まれます。もともとインターネット接続を前提としたスマホやタブレットではなく、いまネットにつながっていない「モノ」がつながることこそ、実はIoTの「」なのです。

■ IoTによるマーケティングのパラダイムシフト

「Kindle」と「電子書籍サービス」の話に戻ると、以下の2点がサービス普及のポイントでした。

① 新デバイス普及の壁がない(小さい) or すでに普及している
② デバイスがインターネットにつながっている

もちろんインターネットにつながればなんでもOK!ということではありませんが、一般に普及してはいるがいまはネットにつながっていない「デバイス=モノ」がネットにつながることで、これまでその「モノ」では実現していなかったサービス(=消費者のメリット)の提供が実現可能になります。

たとえば
・「冷蔵庫(モノ)が庫内の食材の個数をチェックし、少なくなったら自動注文(サービス)」
・ 「エアコン(モノ)が消費者の位置情報を検知し、帰宅前に自動稼働(サービス)」

つまり、既に生活に根ざしている、普及済みであるインターネットにつながっていない「モノ」においては、新サービスはキャズムを「越えやすい」状態になると筆者は考えます。

図のように、インターネットがキャズムの橋渡しになるようなイメージですね。

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キャズムを越えるということは、提供されるサービスによってハッピーになる人が増えるということですので、ぜひIoTを活かしたサービスをデザインしたいところです。

そして、IoT(むしろIoE)というインフラの整備が進めば、インターネットがキャズムの橋渡しになるサービスも増え、マーケティングにおいても大きなインパクトを受ける(=パラダイムシフトをもたらす)と考えられます。

「どんな」サービスを「どうやって」提供するかはマーケティングそのものですし、もちろんサービスを提供するだけでなく、逆に消費者のデータを収集することも可能になるでしょう。製品やサービスの実際の利用データをリアルタイムで収集できるという、マーケターにとって大きなメリットも享受できます。

マーケティングそのものにIoTが深く関係してくるとしたら、IoTに興味がなかった方も(もちろんあった方も)、マーケティングの近い未来とIoTについて考えてみたくなりませんか?

ウフルでの取り組み( IoTパートナーコミュニティ )

ウフルでは「IoTマーケティング」というキーワードを掲げ、IoTによるデータ可視化はもちろんのこと、IoTを利用したマーケティングソリューションも含めた、今後のマーケティングの時代をみなさんと創っていこうとしています。

■ IoTパートナーコミュニティ

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2005年早稲田大学商学部卒。プログラマ出身のデジタルマーケティングコンサルタント。 ウフルではマーケティングプランニング部に所属しており主にマーケティングオートメーションの導入PMを担当。お客様のマーケティングを日夜支援しています。
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