本日は、少し難解な話をしようと思う。しかしながら、PMBOK(R)※のフレームワークについて理解するには、このプロジェクトマネジメント・プロセス群と知識エリアについて理解をする必要がどうしてもあるのだ。
今日のブログは眠くなるかもしれない。できれば寝る前に読むことをオススメする。そうすれば不眠症の皆さんも、さっさと眠りにつき、次の日の仕事も元気に過ごすことができるだろう。
※:米国プロジェクトマネジメント協会(PMI(R))が取りまとめたプロジェクトマネジメントに関する知識体系。
プロジェクトマネジメント・プロセス群
始まりがあり、終わりがある。世の中に存在するすべてのモノに当てはまる真理である。
プロジェクトも同じだ。つまり、何らかの理由があり、プロジェクトが始まり、プロジェクトが進み、終わっていく。これを体系的に表したのがプロジェクトマネジメント・プロセス群だ。
上図のチャートは、プロセス群の流れを可視化したものとなる。
● 立上げ
● 計画
● 実行
● 監視・コントロール
● 終結
この言葉を見ると、なんとなくイメージがつくだろう。プロジェクトが立ち上がり、計画を立てる。その後、いよいよ計画を実行するのだが、計画通りにいかないことが多い。その場合は、計画を再度見直し、また実行をする。そのPDCAサイクルを監視して、適切な形にコントロールするという作業が同時に行なわれる。そして、すべての成果物を納品し終わり、プロジェクトの終結を宣言する。
この一連の流れが、何度もプロジェクトの中で発生するということがミソだ。
少しややこしい部分でもあるのだが、これから説明する知識エリアそれぞれに、上記のプロセス群が存在しているということになる。
プロジェクトマネジメント知識エリア
PMBOK(R)ではプロジェクトは10の知識エリアに分類されるとしている。この知識エリアは、プロセスの共通性を元にまとめたものと理解して欲しい。
● プロジェクト統合マネジメント
● プロジェクト・スコープ・マネジメント
● プロジェクト・タイム・マネジメント
● プロジェクト・コスト・マネジメント
● プロジェクト品質マネジメント
● プロジェクト人的資源マネジメント
● プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
● プロジェクト・リスク・マネジメント
● プロジェクト調達マネジメント
● プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント
プロジェクトを経験した皆様は、なるほど、当たり前のことだ、と思われるかもしれない。しかし、意識的にこれらのどの部分を扱っているか、ということを業務の中で分類するだけでも、随分、プロジェクトの状態把握に役立つのではないだろうか。
簡単にまとめると、どの範囲で、どんなスケジュールで、どのくらいの予算で、どのくらいの納品基準で、どんなメンバーと、どうやってコミュニケーションをとり、今の時点での不確定要素を考えながら、足りないリソースをどうやって補充し、そして、利害関係者は誰で、どう彼らと向き合うか、を考えていくということになる。
上図のように、プロジェクトマネジメント・プロセス群とプロジェクトマネジメント知識エリアが相互に重なったマトリックスになっており、それぞれに名称がついている。読めばなんとなくどんなことを考えたり、実行したりするかのイメージが沸くだろう。また、すべての知識エリアに5つのプロセス群が存在するわけではない。
実際のビジネスシーンでは
プロジェクトには大小、様々なシチュエーションがあるので、実際に一つのフレームワークですべてをカバーするというのは限界があるだろう。また、スコープが流動的だったり、リスク要因が大きい、予算や納期が厳しい、逆に余裕があるなど、状況に合わせてフレームワークを使い分けることが重要になるだろう。
しかし、一つだけ実践して欲しいことは、PMBOK(R)で規定されているフレームワークを実際のビジネスシーンで一度思い出してほしいということだ。どういうメリットがあるかというと、本来考えなければいけないのについつい見落としてしまうということを防ぐことができるのだ。
極端な例だが、大きな金額の受注でテンションが上がってしまい、契約したのはいいが、スコープと自社のリソースのことをあまり考えず、デリバリーの段階になって大変な目に遭う、なんていうことも考えられる。
つまりプロジェクトを始める前に、チェック項目として一度上記の表を見直して、プロジェクトを客観的に評価するようにして欲しいと思う。そうするだけでもプロジェクトの成功率は大きく上がるのではないだろうか。
一つ一つの細かい知識については、また別の回で触れることにする。

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