データの絶対数が足りない時の分析

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先日出張の地方講演を行わせていただいたわけだが、当然ながら様々な状況が都市部とは異なっており、都市部でセミナーを行った際とはまた違った質問をいただく。今回の講演内容としてはソーシャルメディアマーケティングとコンテンツマーケティングについてそれぞれ1.5時間語るという長丁場だったのだが、そんな中で、地方だから/都市部だからといった分け隔てなく頭の片隅にあった方がよい質問をいただいたので、少しこちらで紹介したい。

データが少ないのは地方に限らない

いただいた質問は、「地方なので中央に比べて分析するに当たってデータ量が少ない場合どうすれば良いか」といったものだ。
確かに絶対量として、都市部に比べると地方の方が何かと情報は少ない。人口起因の問題なので、こればかりはどうしようもない。ソーシャルが全国、全世界に繋がっているとはいえ、その取っ掛かりとなるリアルの接点が限られると、特に小売業などはファン数にしてもブランドメンション数(ハッシュタグ含め、商品名などが語られる分量)はどうしても少なくなってくる。
それゆえ、地方ではより顕著な例になってくるものの、これは決して地方に限って起こる問題ではない。実際、グローバルな大手企業向けの分析を行っていてもデータが少ないという事態は起こる。
問題はそこでどう視点を変えられるかだ。

データが少ない場合の対処法

先ず一つ、データがないというのはこれ自体一つのデータだ。こう言ってしまうと、身も蓋もないと思うかもしれないが、データがないということも一つの事実として把握することが大事だ。
とは言え、それだけではマイナスが把握できただけで終わってしまう。
これが会員データなど、自社データであれば頑張って増やすしかないかもしれない。
しかしながら、ソーシャルのデータはオープンなデータが非常に多い。それ故、競合調査も公平に行えるし、それ以外のデータも幅広く扱えるという特徴がある。
大事なのは、視野を広げることだ。

分かりやすいところでは、成功事例のあるところ(A)や、近い競合(B)、自社(C)といった形で並べて比較してみること。
Aの成功要因が何なのか。それに対してBやCには近い要素があるのか。
今上手くいっていないのであれば、成功しているところの良い点を先ず把握することは、当然ながら良いヒントになる。そして、競合の状態も把握し、次のステップを考える。
A >>> C > Bというポジションに先ずは持っていく。
ソーシャルの分析で見えることは、ファンとのエンゲージメントの具合や、個々の事象の捉えられ方など、マーケティングにおいて各方面に活用可能な情報が多い。
少ないなりに何ならあるのか、どこなら成功しているところに近づけることができるのか。それぞれの段階に合わせて、できることは必ず見つかる筈だ。
それでも難しい場合は、もう一歩引いた状態でデータを見てみる。
自社でも、競合でも、成功者でもなく、ジャンル全体や業界全体で見ることで、市井の状況やトレンドが見えてくる。そこに対して自分たちがフィットしているのか。潜在顧客がどこにいるのか。

少し視点を変えるだけで、取り扱えるデータの量は大きく変わってくる。
目の前の一つの事象だけに捉われるのではなく、視野を広げるとそこには膨大なオープンデータが鎮座しているのだ。

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タナカさん

兵庫県出身。2003年東京外国語大学大学院修了(学術修士)。ウフル・マーケティングインテリジェンス本部(旧マーケティングクラウド本部)のたぶんちょっとエライ人(弊社CSOの田中正道とは別人)。 データドリブンなマーケティングに関して、その仕組みの設計からクリエイティブまで経験。趣味はバルトやデュルーズといった現代思想の研究から草の根音楽活動までと多岐に渡る。要するにオタク。
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