プロジェクトマネジメント vol.3 -プロジェクト憲章

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今日はプロジェクト憲章についてお話をしようと思う。
プロジェクト憲章って何?と思う方も多いと思うが、これはとても大切な事項であるので是非覚えておいていただきたい。

プロジェクト憲章とは、そのプロジェクトが公式に存在することを承認するためのものだ。そして、正式にプロジェクトマネージャーが任命され、組織の資源や、権限が割り当てられるということになる。つまり、プロジェクト憲章がない場合、上記を正式に証明するものがないということになり、プロジェクトの進行に大きな影を落とすということも考えられるのだ。

PIMBOK(R)ガイドによると、

●プロジェクトの目的とその妥当性
●プロジェクトの測定可能な目標および成功基準
●プロジェクトへのハイレベルの要求事項
●前提条件と制約条件
●ハイレベルのプロジェクト記述と境界
●ハイレベルのリスク
●ハイレベルのマイルストーン、スケジュール、バジェット
●ステークホルダーの一覧
●プロジェクトの成功判断に関する、事項、人など
●プロジェクトマネージャーの責任と権限のレベル
●プロジェクトスポンサー

がプロジェクト憲章に記述される。
この中でも重要および説明が必要なものをピックアップして書いてみることにしよう。
※:米国プロジェクトマネジメント協会(PMI(R))が取りまとめたプロジェクトマネジメントに関する知識体系。

プロジェクトの成功基準

これは非常に重要だ。プロジェクトの成功といってもケースによって異なる。
具体的な成果物があればいい。例えばシステムが成果物だったとする。それをいつまでに納品するかということを決めなければならないし、その品質基準をどうするか、誰に確認してもらうかなどを決めておかないと、いつまで経ってもプロジェクトが終わらないということになってしまう。
実際にビジネスでは、プロジェクトが終わらないと、お金を支払ってもらえないということがよくある。理不尽と思うかもしれないがそういうものなのだ。そのため、この部分はしっかりと決めておくべき事項なのだ。

私が携わってきた仕事では、イベント制作が一つのプロジェクトだったので、それに関してわかりやすい例を挙げよう。
何月何日にイベントを開催して、チケットを何枚以上売り、物販をこのくらい売って、いくらの最終利益を出す。かつ、怪我やトラブルなどを起こさず、お客様の満足度が80%を超えることなどを目標にしていた。
※お客様の満足度を測定する方法にソーシャルリスニングがある。それはまた別の回でご紹介しよう。

前提条件と制約条件

これも重要。実際のビジネスでは、すべて自由に無制限にリソースを割り当てられるということはないだろう。理不尽と思うかもしれないがそういうものなのだ。
言葉の定義からまとめよう。これもPIMBOK(R)により規定されている。

前提条件 – 計画などを立てる際、証拠や実証がないまま、真実、現実、また確実であると考えられた要因のこと。
制約条件 – 予想の目標のもとで、実行するまたは実行しないことに対し、制約を受ける状態、性質、また意識のこと。過程の内外を問わず、項目や過程の成果に影響のあろう制限や制約のこと。

ある状況を前提に計画を立てる中で、当然のこととして持っている条件がある。
例えば、私はお客様からヘビーな分析の仕事を次の日までの納期で頼まれた。DJ TAIZOは明日も元気に出社してくるだろうという前提条件の元に、その仕事を請けた。しかし、翌日DJ TAIZOは季節の変わり目で風邪を引いて会社に来ない、もしくは、パフォーマンスが下がっていて、その日の納品に間に合わなかったとしよう。前提条件が崩れるとはこういうことだ。

制約条件は、ある決められた条件化で計画を立てるということになる。
例えば、私はお客様からヘビーな分析の仕事を次の日までの納期で頼まれた。しかし、DJ TAIZOは人気がありすぎで、次の日は2時間しか工数が空いていないとする。私はこの2時間で完了できる仕事かどうかで、その仕事の可否を判断する必要がある。これが制約条件の例だ。

このように前提条件や制約条件をもとに計画を立てる必要があるので、それを最初にプロジェクト憲章で規定しておくべきなのである。

ハイレベルのプロジェクト記述と境界

難しい言葉で書いてあるが、つまり、このプロジェクトはどこからどこまでが範囲かということ。
これを決めておかないと、ずるずるとプロジェクトが終わらないまま、アレもコレもという話になる可能性がある。

プロジェクトのリスク

不確実性は別途リスクマネジメントでしっかりと対策をする項目だ。
プロジェクト憲章の段階ではあくまで、ハイレベルもしくは現段階で明らかになっているものをまとめて共有しておくということになる。

ステークホルダー

プロジェクトの成否に影響を与えるステークホルダーはこの時点でわかる範囲で規定しておく。
こちらも後ほどステークホルダーマネジメントはしっかり行う必要があるが、関係者の協力もしくは邪魔を防ぐことなしにプロジェクトの成功はないということになるかもしれない。


このように、プロジェクト憲章は、プロジェクトの始まりに作るべき最も大切なドキュメントのひとつだと言える。もしも、現在のプロジェクトでプロジェクト憲章を用意していないなら、今すぐに作成することをオススメする。

※この文章はPMI(R)およびPIMBOK(R)のフレームワークを基に筆者が執筆しています。
  概念およびアイデアも上記に基づき出されています。

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NOWAY

ウフルのOB(2016年1月末卒業)。1980年岡山県出身。青山学院大学ビジネスクール(ABS)卒。MBA、PMP(R)、プロキックボクサー(現役、NEXTLEVEL渋谷成田組所属)。専門分野はプロジェクトマネジメント。ただいまウフルシック中。
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